読めますか? テーマは〈値上げ〉です。
費える
答え
ついえる
(正解率 82%)減ること。消費とはお金が「消え、減る」ことだ。あす値上げするからといって不要な物も買わないよう心がけたい。なお「ついえる」は「潰える」とも書き「夢と潰える」などと使うが、2010年に常用漢字に追加された「潰」にこの読みは認められなかった。
(2014年03月31日)
選択肢と回答割合
かぞえる |
12% |
ついえる |
82% |
つかえる |
6% |
百貫のかたに「編み笠一蓋」
答え
あみがさいっかい
(正解率 49%)一蓋は「いちがい」ともいう。「蓋」は笠の数え方。「編み笠一蓋」は、身軽であることや財産のないことの例え。「百貫のかたに編み笠一蓋」は、多額の支出に対しわずかしか収入がないことで、「百貫」は「千貫」ともいう。消費税による値上げ。収入も上がればいいのだが。
(2014年04月01日)
選択肢と回答割合
あみがさいっかい |
49% |
あみがさひとさら |
17% |
あみがさひとふた |
34% |
見合った「価」
答え
あたい
(正解率 64%)価格。文化庁が報告した「『異字同訓』の漢字の使い分け例」では同じ「あたい」と読む「値」と「価」の使い分け例が示されている。値は「値打ち。文字や式が表す数値」。価は「値段。価格」とされ「手間に見合った価を付ける」という用例が示された。だが価の例はあまり見ない。
(2014年04月02日)
選択肢と回答割合
金が敵
答え
かねがかたき
(正解率 68%)金銭で苦労したり身を滅ぼしたりすることが多いことから、金を敵に例えたことわざ。また、金運に巡り合い金もうけするのは難しいという意味もある。これは敵を捜してもなかなか見つからないことからの例え。
(2014年04月03日)
選択肢と回答割合
かねがてき |
11% |
かねがかたき |
68% |
きんがかたき |
21% |
税倉
答え
ちからぐら
(正解率 42%)昔の租税の稲などを納めた倉。税は「民の力で生み出されるもの」を表すという。税をつかさどった役所「主税寮」を起源とする「主税(ちから)」は男性の名に今も使われている。民としては買いだめした物を保存する倉庫が欲しい。
(2014年04月04日)
選択肢と回答割合
いねぐら |
37% |
ぜいそう |
22% |
ちからぐら |
42% |
◇結果とテーマの解説
(2014年04月13日)
この週のテーマは「値上げ」でしたが、実は隠しテーマがあります。「異字同訓」です。
2014年2月に文化庁から「『異字同訓』の漢字の使い分け例」という文書が発表され、インターネットで公表されました。たとえば「はる」に対し「張る」「貼る」のどちらの字をあてるのがいいかという、校閲にとって注目すべき内容です。
2017.09.09
サイトの読者の方から「はる」の表記について質問をいただきました。
例えば新聞で「ポスターを張る」と書かれていると、ご質問の方は「貼る」ではないかと違和感があるそうです。
新聞では基本的に「張」だった
新聞では、以前はあま...
しかし、あくまでも常用漢字表の音訓に基づく使い分けとなっていますので、一方がそれに当てはまらない場合は記されません。たとえば「費える」と異字同訓の語に「潰える」がありますが、潰の字は常用漢字になったものの「ついえる」の訓は入らなかったので、両者の使い分けは示されませんでした。ただ「費える」に関しては分かりやすいし、そもそも使用頻度が大してないので困ることはないのですが。
その「費える」が今回最も正解率が高かったのですが、82%という数字は微妙です。「費やす」はよく使うのに対し「費える」は同じ「つい」の読みなのにあまり使われないことが表れている気がします。
「価=あたい」はもっと頻度が小さい読みではないでしょうか。これも常用漢字表に掲げられた読みですので、「値」との使い分けが示されているのですが、「値」が「値千金」などの形で頻出するのに対し「価」の「あたい」は使用例に出合った記憶がありません。1972年の使い分け例だと「価が高くて買えない」「商品に価を付ける」が挙げられていたのですが、今回の改定で「手間に見合った価を付ける」と例示は一つになりました。その例にしても、普通「見合った値段」といいますよね。知恵を絞って変えたはずの例もぴんとこないということで、結局この訓の使い勝手の悪さが明確になりました。
2016.04.30読めますか? テーマは〈宵〉です。入相答えいりあい(正解率 53%)「夕方」の古い言い方。新古今和歌集の能因法師の歌に「山里の春の夕暮れきてみれば入相の鐘に花ぞ散りける」がある。なお、共同で利用する土地を意味する「いりあいち」は「...
「金が敵」は「金」に「鐘」「鉦」、「敵」に「仇」の異字同訓があります。「仇」は常用漢字ではないので「かたき」といえば「敵」となるはずですが、「てき」という音の方がよく使われますので、仮名書きにすることも多いと思います。また「金」も「きん」と読まれるかもしれないと思うと「かねがかたき」と全部仮名にするか、ルビを付けるかしなければなりません。異字同訓も大変ですが、同字異訓(そんな言葉あるのかと思いましたが文化庁のホームページの議事録にありました)もなかなかやっかいです。
「百貫のかたに編み笠一蓋」の「笠」は異字同訓は「傘」。編み笠の場合は傘かどうかで迷うことはないのですが「キノコのかさ」「クラゲのかさ」あたりになると悩みます。まあ笠は常用漢字ではないので平仮名で書いておけば無難なのですが。それより、このことわざの難しさは笠の数え方がなじみのないことでしょう。蓋は2010年追加の常用漢字ですが、笠の数え方に「がい、かい」があるなんて出題するまで知りませんでした。
2014.08.23その辞書を「おっきい泉(せん)ちゃん」と呼んでいる。19年前に「大辞泉(だいじせん)」(小学館)の初版が刊行されてすぐ個人で購入した。自分の名が「泉」で、それを音読みにして「せんちゃん」のあだ名で呼ばれてきたものだから、親しみが湧...
今回最も難しかったのは「税倉」でした。「倉」の異字同訓は「蔵」ですが、奇妙なことに72年にはあった使い分け例が今回ばっさり削除されてしまいました。昔の例は「倉敷料」とか「蔵払い」とか特殊な例でしたが「お蔵入り」など今でも使われる例に入れ替えればよかったのにと思います。「倉が建つ」は「倉」でしょうか。でも童謡の「こがねむしは金持ちだ」に続くのは「金蔵建てた蔵建てた」だっけ。こういう微妙な使い分けこそ示す意味があるのですが。
今回の異字同訓報告は全体的には注釈が増えるなどかなり頑張っているのですが、もう少し時間をかけて衆知を集めてもいいのではと思いました。これは常用漢字改定にもいえることで、国語政策に関しても、すぐ結果を求められるというあしき風潮が及んでいるのでしょうか。