読めますか? テーマは〈長寿〉です。
目次
冠着山
かむりきやま
(正解率 33%)姨捨山(おばすてやま)ともいう。長野県の山。年取った親代わりのおばを捨ててきた男が山の月を見て後悔し連れ帰ったという伝説が残る。棚田の水に映る「田毎(たごと)の月」でも有名。
(2015年09月14日)
選択肢と回答割合
かぶきやま | 41% |
かむりきやま | 33% |
かんじゃくやま | 26% |
「砂」長じて巌となる
いさご
(正解率 38%)寿命が非常に長いことや末永く栄えること。類句の「さざれ石の巌となりて」は「君が代」で有名。古代の人は石が成長すると考えていたらしい。また、小さな何の価値もないものもたくさん集まれば価値のあるものになるという意味も派生した。
(2015年09月15日)
選択肢と回答割合
いさご | 38% |
さざれ | 41% |
まさご | 21% |
淮南子
えなんじ
(正解率 59%)中国・前漢の劉安が編んだ思想書。諸子百家の学説を総合的に記述する。長寿をことほぐ「鶴は千年」という言葉の由来は淮南子にある。ただ「亀は万年」は日本で付け足されたものと「岩波ことわざ辞典」は推測する。
(2015年09月16日)
選択肢と回答割合
えなんじ | 59% |
じゅんなんし | 23% |
すいなんし | 19% |
尉と姥
じょうとうば
(正解率 56%)尉は能楽で、翁またはその面のこと。姥はその対語。謡曲「高砂」で、この老夫婦が松の落ち葉をかく姿は、めでたいものとされた。
(2015年09月17日)
選択肢と回答割合
いとおば | 12% |
うるとうば | 32% |
じょうとうば | 56% |
眉雪
びせつ
(正解率 71%)眉が雪のように白いこと。転じてお年寄りを指す。村山富市元首相の顔が浮かぶ。なお白髪を雪に例えた語としては「頭(かしら)の雪」などの表現もある。
(2015年09月18日)
選択肢と回答割合
びせつ | 71% |
まゆゆき | 5% |
みせつ | 24% |
◇結果とテーマの解説
(2015年09月27日)
この週は
「長寿」をテーマにしました。
漢字の3択クイズを出題するうえで気を付けなければならないのは、複数の読みがあり正解が二つあるのを避けることです。例えば「老若」は「ろうにゃく」「ろうじゃく」の選択肢を掲げることができません。「ろうにゃく」が普通と思いますが、辞書には「ろうじゃく」もあります。
出題の「眉雪」は「びせつ」が正解ですが、眉間のミを当て「みせつ」という読みはないか。一つの辞書だけでは安心できません。眉間だって「まゆあい」も載せる辞書があります。
「砂」も「サ」「シャ」「すな」のほか「いさご」「さご」「まさご」という読みが漢和辞典に載っています。「砂長じて巌(いわお)となる」の場合、いろいろな辞書などにあたって、別の読みがないかどうか調べる必要があります。「さざれ」は「細れ」、「まさご」は「真砂」と書くので、このことわざに関しては「いさご」のみ正解としてよさそうです。それにしても、古代人は砂が成長して岩になると考えていたなんて、初めほほえましくも非科学的と思っていたのですが、堆積(たいせき)岩は小石が積み重なってできますので、古代人の洞察力の方が優れているといえます。
「淮南子」。「鶴は千年」の出典は淮南子ということにちなむ出題です。ただし「岩波ことわざ辞典」によると「亀は万年」は「のちに日本で補われたものかもしれない」とあり、確かに漢和辞典で調べると亀万年の言及はありません。ところで「えなんじ」の読みで通っているものの、編集したのが淮南王(わいなんおう)の劉安と聞けば、なぜ「え」と「わい」で分かれるのか疑問が湧きます。「え」は呉音、「わい」は慣用音とされています(漢音は「かい」)。紀元前2世紀成立の「淮南子」は奈良時代ごろ日本に伝わって、奈良時代以前からの読み方である呉音の方が通りがよかったということのようです。淮南という地名はもっと後から知られるようになって、その時代の一般的読みで「わい」になったのでしょう。
「尉と姥」の「尉」は大尉の「い」が有名で、「じょう」は能楽に縁がないと知らない読みではないでしょうか。なぜこの字が「じょう」になるのか不思議ですが、語源に定説はないようです。日本国語大辞典では「ジョウ(判官)の転義か」「官途に窮老の人が任ぜられることから」「『丈』の音か」「ヂヂの転訛(てんか)か」との説が挙げられています。また「姥」の字も「うば」「おば」の読みが知られます。
写真の「冠着山」は、別名の「姨捨山」の方が有名でしょうが、ルビを振る場合「うばすてやま」「おばすてやま」どちらがよいか。元が伝説ですからどちらも間違いではないと思いますが、絶景で有名なJR篠ノ井線駅名は「姨捨(おばすて)」であるように、そちらが通りが良いでしょう。この漢字が「姥捨」でないことにも注意する必要があります。