毎日新聞校閲センターでは、校閲の技術が学べる講座を実施しています。参加してくださっているのは、校正者はもちろん、書く仕事に関わる人、企業の広報担当や秘書、カタログ製作担当、教員や学校司書、税理士、会計監査人など実にさまざま。「上司に書類のチェックをよく頼まれる」という声もありました。仕事の基本的なスキルとして校閲を身に付けようという意識があるようです。
2020年6月以降はオンラインで行っており、国内各地はもちろん、海外からも参加していただけるようになりました。毎回多数の参加をいただき大変好評です。
今回は主に経験者の方や一度講座を受講された方を対象に、新聞校閲の豊富な実例を紹介し、実践を通じて校閲のコツについて考えます。
校閲記者が講師を務めるこの講座では、一字一句を逃さない校閲の読み方を体験することと、適切な言葉を選ぶ校閲的な視点を学ぶことに重点を置いています。
例題に挑戦してみましょう。下の文章で直すべきところはどこでしょうか。制限時間は3分です。
いくつ見つかりましたか?
(1)「ずくめ」と直します。「…ずく」も「ず」ですが「…づくし」は「づ」です。
(2)雰囲気は伝わりますが、正しくは「意気込み」。「息」「意気」に「粋」も加えると、使い分けに悩むケースがあります。毎日新聞の用語集は書き分けの例として「粋がる」「人生意気に感ず(意気に感じる)」などを示しています。
(3)「話す」か「語る」にしなければいけません。クイズのために生まれたような意地悪な誤植ですが、一度だけ実際に目撃したことがあります。迷っているうちに交ざってしまったのでしょうか……。
(4)正しくは「視聴率」です。割と見逃されがちで、ネットでもよく見かける誤植です。
(5)固有名詞の誤りです。テレビ番組の視聴率調査で有名な会社は「ビデオリサーチ」ですね。
(6)間違いではありませんが、他の記述にそろえて洋数字の「18年」とします(「20」は新聞のルール上、ここでは省略しています)。漢数字と洋数字の併用は日本語の特徴の一つです。表記がバラバラになるのを避けるには、あらかじめ基準を決めておく必要があります。
(7)「いう」の前に「と」が抜けています。助詞の脱字の中でもよくあるパターンです。
いかがでしたか。校閲の鉄則は「誤りの隣に誤りあり」。直せたと安堵(あんど)するとその隣の誤りを見逃します。
講座では、校閲の実際のやり方を実践的に学ぶことができるほか、校閲に必要な知識なども解説していきます。
毎回違う問題を用意し、取り扱う内容も変わるため、繰り返し参加していただくことができます。リピーターも多数いらっしゃいます。
日本語の使い方に悩んでいる方、文章チェックのトレーニングをしたい方、ぜひ校閲オンライン講座にご参加ください。
次回は2月23日(祝)の10時30分から13時。受講料は3850円です。ご参加をお待ちしています。
感想ツイート ありがとうございます
校閲オンライン講座、受講終了。講師の解説だけでなく、受講者からチャットで寄せられる質問も参考になります。校閲者が何でもかんでも直すのではなく、記者のセンスを尊重する姿勢に好感が持てました。 https://t.co/anuW4j7INO
— ベネ・水代@止まり木亭と花束市場の人 (@Mizushiro_RO) December 6, 2020
毎日新聞社校閲講座さんが、未回答の質問に講師が回答したQ&A集を送って下さった(太っ腹!)
その中の「校閲作業に適性がある人は」という質問に、講師は次のように回答されている(内容をさよが要約)。
「一番大切になるのは、読むのが苦にならないこと。調べものなどをする際の粘り強さも必要」1/2— 勝田さよ (@sayok9011) December 19, 2020
先日の校閲オンライン講座、当日の資料や質問への回答をまとめた資料を送っていただきました。
小説書きに生かせたらいいなと思い受講しましたが、校閲記者さんの、言葉で正しく伝えるという責務への真摯な姿勢を見て、仕事への反省にもなりました。
2月にも講座が開講されるので受講したいです。 https://t.co/AnSY3AYEr3— おおきたつぐみ (@okitatsugumi) December 20, 2020
ダイエット始めてから、それ以外にも頑張りたいことが増えた。昨日ずっと受けてみたかった校閲講座に参加できたんだけど講師の方はもちろん他の参加者の方々も着眼点と質問がハイレベルすぎて絶句wしかしあっという間の2時間だった😆これを機に日本語や漢字、表現の奥深さをもう一度学び直したい。 https://t.co/MzrLA8SFry
— もちみ -24kg達成中 (@fanfare_mmp) December 6, 2020
こちらの校閲講座を受講しました!面白かった!講義内容はもちろんタメになるものだったし、普段赤入れの記号使い分けがきちんとできてないな〜と思ったので明確に分けていきたいな〜と思いました 次回も受講するぞ! https://t.co/baZySvvbnZ
— пён✉️封筒と箱ティッシュ (@ask_a_12) December 6, 2020
毎日文化センターのオンライン校閲講座を初めて受講。忘れかけの校正魂が燃えました😆結果は4戦2勝2敗(自分に甘い結果w) だったものの、気付きも多く「あくまで校閲は読み手」という言葉にうなずきながら手元の資料を振り返っています。次回も受けようか思案中。楽しすぎたー!😊#校閲オンライン講座 https://t.co/McbeCQsYAR
— ®️icarika (@ZadkineMachen) December 6, 2020
毎日文化センター「オンラインで学ぶ校閲実践トレーニング」面白かった!その場でわからないことが聞けて、他の方の反応も見れるのが大変勉強になりました。
— みちとこ (@michitoko123) December 6, 2020
校閲講座めっちゃ勉強になったなぁ〜
改めて、校閲者さん凄いと思った。そして、校閲の読み方難しい〜とりあえず、恥ずかしながら記者ハンドブック持ってなかったので買いに行こう!
— イシカワさん@WEB編集者/ライター (@WEB_editor3) August 30, 2020
実際にゲラを見ながら校閲やってみたけど、まあ半分強しか見つけられない💦いくつかやってる内に、注意すべきポイントが分かってくるので、記号抜けとかはシステマティックにやりつつ、音読を入れてみたり、すると、だいぶ精度が上がることに気づいたり。
大人の職業体験みたいで楽しかった😊— こなもん (@kono_obakasan) August 30, 2020
毎日文化センターのオンライン校閲講座、午後の部にて受講。しっかり見てるつもりでも見落としあるある。なんやったら先生が「よく間違えるところ」と言われたところをバッチリ見落としてたりとかして…。プロのすごさを思い知りました。面白かったです。
— 油井やすこ@関西ライター (@aburaisan) August 30, 2020
毎日文化センターの校閲講座、もともと対面講座だった模様。
でもコロナ禍でオンライン講座に切り替え。対面のままだったら、こんな言葉の勉強の機会に恵まれなかったな。ありがたいものだ。#校閲講座#毎日新聞
— 鈴木まゆ子 税理士・税務ライター (@mayu_suzu8) August 30, 2020
日曜日に参加した毎日新聞の校閲講座おもしろかった。前から校閲部のTwitterがすごく好きで、その考え方にしっくりきた。でも講座に参加しようとしたらコロナ襲来。個人的にはオンラインでよかった。見やすかった。超理系だけど、理系は実はこういうのはまる。終了後ノートにまとめるのも楽しかった📒
— microcub (@microcub) September 3, 2020
あっという間の2時間でした。「校閲の領域」を大切にして、これからも原稿と向き合っていきたいと思います。
受講中に感じた不明点もチャットですぐに回答頂き、スッキリしました。ありがとうございました。 https://t.co/49yvUFANGp
— ナルミ (@yo_narumi) August 31, 2020
オンラインだからこそ参加することができました!ありがとうございました。
執筆者とも編集者とも違う「校閲の読み方」とても参考になりました。ぜひまた続編などもご検討いただけるとありがたいです。 https://t.co/EexvGm9Oni
— 静 (@sshizu_) August 31, 2020