「好感する」という表現について伺いました。
相手を好ましく思うこと=「好感する」は5%
相手を好ましく思うこと。「好感する」という書き方をどう感じますか? |
問題無いし自分でも使う 0.6% |
意味は分かるのでよい 4.6% |
「好感を持つ」としたい 94.8% |
実に約95%が「好感を持つ」派。大辞泉2版(2012年)で「株式用語以外の場面でも使われ始めている」とありましたが、違和感を持つ方が圧倒的多数でした。
市場記事で「好感する」は長い歴史を持ち、半世紀以上前の1957年の毎日新聞紙面でも「ニューヨーク株式市場は米連邦準備銀行の公定割引歩合引下げを好感して……値上り総額は四十億ドル以上暴騰」とあります。
毎日新聞1957年11月16日夕刊
この「好感」の反対は「嫌気(いやき/いやけ)」で、一般に「もう嫌だと感ずる気持ち」を表すほか、「相場が思いどおりにならないで人気が落ちること」を意味します(大辞林)。この言葉も、株式関連で使われる場合は「嫌気する」と動詞になる用例が辞書でも新聞でも見られます。
「嫌気する」が株式関連以外で使われるようになるのは想像できませんが(語呂もいまいちですし)、「好感する」なら受け入れられるかも……などと考えてしまったのは、出題者が新聞的な表現にどっぷりつかった結果だったようです。今のところ「好感する」は経済関係記事に限った方が無難という結論になりました。
(2018年03月30日)
「米株高が好感され日経平均も上昇」などとマーケットの記事では毎日のように使われる「好感する」ですが、多くの辞書は「好感」を「相手に対して与える、いい印象」(新明解国語辞典7版)などと名詞としてのみ扱っており、「する」をつけて動詞化できると書くものは少数派。ただ「近ごろでは『もっとも好感される女優』のように、株式用語以外の場面でも使われ始めている」(大辞泉2版、2012年)とする辞書もあります。毎日新聞でもほとんどが株価に関する記事での表現ですが、昨年のフランス大統領選で当選したマクロン氏について「労働者や弱者に寄り添う姿勢が好感された」などと一般的な場面での使用も見られます。
(2018年03月12日)