普段、野球の記事の校閲をしていて、とても間違いが多い用語のひとつに、「補殺」というのがあります。ゴロを捕って塁に送るなど、アウトを取ることを手伝う行為をいうのですが、これを「捕殺」と書いてくることが非常に多いのです。捕殺となると、「捕らえて殺すこと」となり、物騒な話になってしまいます。パソコンで変換しても「補殺」は出ないことが多いのではないでしょうか。「捕ってアウトにする」のではなく「補ってアウトにする」のだと覚えれば間違いありません。
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野球ファンの方なら、強肩の外野手が見せる好返球にしびれたことがあるはず。外野手の補殺はヒット性の当たりを塁で刺したり、犠牲フライのタッチアップを本塁で刺したりというときにつくので、多い選手にとっては高い守備力を示す勲章といえ(ただ逆に強肩を警戒され、走者が次の塁を狙わなくなることもあり、一概に補殺の多さイコール守備力の高さとはいえませんが)、補殺の話題が出るのも外野手に関してが多いのですが、当然内野ゴロも補殺です。
わたしも野球が好きなのですが、最近この補殺に関しておもしろい記録があることを知りました。それは「無補殺試合」。1983年に中日の高橋三千丈投手が阪神を相手に達成。アウトはすべてフライアウトか三振でした。最近では千葉ロッテの渡辺俊介投手が八回途中まで補殺ゼロ(2011年)などがあるようですが、無補殺完封は今のところ高橋投手が達成したのが唯一のよう。というわけで、長いプロ野球の歴史の中でもそうはないとてもレアな記録なのです。
次にこの記録が成ったときには、ぜひとも運動面の仕事につき、「補殺」としっかり「補」が入っているかどうかチェックしたいものです。
【水上由布】