「準備万端だ」「絶不調」「盛り下がる」「夜ごはん」……しばしば見かける、本来とは違う意味合いで使われている言葉や、辞書ではあまり見つからない表現について、「直す」か「直さない」かをマスコミ各社の用語担当者に聞いたアンケートからまとめました。(調査について詳しくはこちらの①をご覧ください)
目次
準備万端だ
直す=17社 |
直さない=3社 |
「『万端』は、『すべての事柄』。それ自体に『整う』という意味はないため、『準備万端』だけでは、『準備がすべて整った』意にはならない」とスタイルブックに明記にしているという社があるなど、直すという意見がほとんどを占めた。直し方は「準備万全」「準備万端整った」など。
一方で、過去多数の使用例があり「ほとんど直していない」「この4文字で世間の認知は得ているのではないか」という声や、テレビの1社からは「『整う』の言葉を入れないと表現不十分に思えるのは活字の世界で、口語の世界(アナウンサー表現)では、これくらいの省略は認められていると思う」とのコメントもあった。
絶不調
直す=8.5社 |
直さない=11.5社 |
意見が分かれたが、「直さない」が多数派だった。「(絶好調からきた)造語だが、意味的に破綻していないので許容できる」「(広辞苑など)辞書にも採用され始めていて、直しづらい」「むしろ『絶好調』の方が少ないくらい」などの指摘があった。スポーツ紙は「スポーツ新聞ではよく使う表現」「もはやスポーツ紙では一般用語」とし、3社とも「直さない」とした。
ただ「直す」という意見も半数近くあり、直し方は「極度の不振」「不調」などが挙がった。直すとしつつ「使用実績多数で一般語になりつつある印象」「若い人は調査によると半分以上が使っている」とのコメントがあるなど、「かなり流布した感じ」は共通しているようだ。スポーツ記事なら許容するが一般ニュースでは避けるという声も複数あった。
盛り下がる
直す=19.5社 |
直さない=0.5社 |
「盛る」と「下がる」を合わせるのは矛盾する言い方で、「意気消沈する」「静まり返る」などに直すという見解でほぼ一致した。コメントでは「ある言葉の一部を反対の意味の語に置き換えて、反意語を作るという例が見受けられる」という指摘のほか、「カッコ付きで、意図して使われることがある」という声もあった。
夜ごはん
直す=14社 |
直さない=6社 |
「直す」が多かった。直し方の例は「晩ご飯」「夕ご飯」「夕飯」。理由として「俗語臭が強い」「夜食と区別がつかない」などのほか、特にテレビ局では「幼く聞こえる」などの声があり、許容するという意見はほとんどなかった。
「直さない」という声も一定数あり、「だめという材料がない」「晩ごはんにすべきだという理屈がつけづらい」「生活スタイルの変化による新語として認められる」などの理由が記されたが、その上で「そぐわない文章であれば直すことも」というスタンスもみられた。