校閲記者という仕事を選んだ人はどんな人なのでしょうか。また、この職場はどんなふうに見えるのでしょうか。この春、東京本社に入社した塩川さんと、入社2年目である斎藤さん、女性の2人に話を聞いてみました。
◆なぜ校閲を志望したのですか?
塩川 大学での専攻は仏文学で、留学して本格的にフランス語を学んだのですが、その時にフランス語と比較して日本語のあいまいさや多様さを面白いなあと再認識して、日本語にかかわる仕事をしたいと思いました。また、文芸サークルに所属していて、自分は書くよりも、よく読んで校正をして冊子を作る作業がとても楽しくて好きだったんです。
斎藤 塩川さんと重なる部分があるのですが、私は父の仕事の都合で、高校時代のほとんどを英国で過ごしました。しかし、英語に囲まれた環境の中で、かえって日本語が好きという思いが深くなりました。最初は一般記者になりたいと思っていたのですが、校閲という仕事を知って、読者により近い立場で、言葉にこだわる部分により魅力を感じました。
◆実際に仕事をやってみて、どんなことを感じますか?
塩川 まだ配属から1週間くらいですが、覚えることが多くてたいへんです。特に、版替え(配布地域によって紙面を作り替えること)があることは全く知りませんでした。記事の入れ替えなどが複雑で難しいです。記事を読むという仕事自体は、思い描いていたものに近いのですが、想像していたより、調べることがたくさんあるのと、言葉や表記について周囲の人と意見交換したり、出稿元に問い合わせをしたり、人と話すことが多い仕事だと感じています。
斎藤 周りの人のなみなみならぬ日本語への情熱や知識量に圧倒されるばかりですが、マイペースな人が多いので基本的には「人は人、自分は自分」という感じです。ほとんど怒られた記憶もありません。内心どう思われているかは知りませんが(笑い)。その分成長するためには自分で前に進まないといけないです。ただ、1年前の入社時には「本塁打=ホームラン」ということすら知っているか危ういほどの野球知識レベルであった私が、仕事をきっかけに野球が大好きになり、最近、「完封」とされていた見出しを即座に「零封」の誤りと指摘できたのは、自分の成長を実感する出来事でした。
職場は個性的な方がいっぱいで、とても楽しいです。すごいのは、皆さんそれぞれに得意分野があること。今の私の得意分野は……好奇心が強いことでしょうか(笑い)。