写真記者による原稿。報道ヘリコプターから撮影している様子を想像しながら読んでいたところ、「航空機ではヘリコプターのような機敏な動きはできません」。ヘリコプターではなかったようです。「航空機」「ヘリコプター」「飛行機」はどう違うのでしょう。
「航空機」と「飛行機」を辞書で引いてみます。
<岩波国語辞典>
航空機:飛行機・飛行船など、人が乗って空中に浮かび、飛行する機械の総称。
飛行機:ジェット噴射やプロペラの回転によって推進し、胴体に固定された翼で揚力を得て飛ぶ航空機。
<広辞苑>
航空機:大気中を飛行する機械の総称。気球・飛行船などの軽航空機とグライダー・飛行機などの重航空機とに分ける。法令上は、気球・ホバークラフト・宇宙船・ミサイルなどは含めない。
飛行機:動力で推進し、固定翼で揚力を得る重航空機。推進器の種類によってプロペラ式・ジェット式に分けられる。(以下略)
<三省堂国語辞典>
航空機:①飛行機・ヘリコプター・飛行船・気球の類。②飛行機。
飛行機:発動機をそなえ、<プロペラを回転して/ガスをふき出して>空をとぶ乗り物。航空機。
<明鏡国語辞典>
航空機:空中を航行する乗り物の総称。気球・飛行船・グライダー・飛行機・ヘリコプターなど。現在では特に飛行機を指す。
飛行機:翼面に生じる揚力で機体を支えながらプロペラの回転や燃焼ガスの噴射によって空中を前進する乗り物。
「航空機」が総称で、「飛行機」「ヘリコプター」がその分類という語釈が大勢のようです。航空機がヘリコプターを含むとすれば、問題の一文は少し変な表現です。辞書にあるように「飛行機」を指して「航空機」ということもありますが、ヘリコプターとの違いを説明する文章なのでこの用法は避けた方が無難でしょう。了承を取って「飛行機ではヘリコプターのような機敏な動きはできません」と直しました。