「じゅうてん」は「充塡」「充填」のどちらにそろえましょう。常用漢字表に載っているのは、つくりの部分が旧字体の「塡」。従来、常用漢字には新字体が採用されてきましたが、2010年に追加された「塡」は表外漢字字体表の字体がそのまま採用されました。
「塡」には「うずめる」「ふさぐ」などの意味があります。漢字使用の目安である常用漢字表に追加されましたが、毎日新聞では読みやすさに配慮し、独自にルビ(ふりがな)付きで使用しています。
常用漢字には従来、手書きの慣習に沿ったり簡略化されたりした新字体が採用されてきました。しかし、10年に196字が追加された際には「世の中で用いられている」(文化庁)ことを理由に、表外漢字字体表などで採用していた伝統的な字体、いわゆる康熙(こうき)字典体が多く採用されました。このため、同じ常用漢字表の中でも字体が微妙に異なるケースがあります。「塡」と「真」もその一つで、他にも「溺」と「弱」、「賭」と「者」、「嘲」と「朝」、「捗」と「歩」などがあります。
常用漢字の「郎」に1画増えた「郞」は旧字です。新聞では旧字や異体字は一部を除き使用せず、常用漢字表に基づいた字体や後述する「印刷標準字体」を使用しています。別に見逃しても間違いにはなりませんが、今日はちょっと意識したい字体の話です...