ウクライナの首都の表記の仕方について伺いました。
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「キーウに慣れた」が6割
ウクライナの首都の名前。新聞では「キーウ(キエフ)」と表記されますが…… |
慣れたので「キーウ」だけでよい 59% |
「キーウ(キエフ)」の書き方がよい 17.3% |
今でも「キエフ」の方がなじみがある 23.7% |
ウクライナの首都の表記の仕方は、慣れたので「キーウ」だけでよいという回答が6割を占めました。2022年2月からのロシアによる侵攻を背景にした名称の変更ですが、1年でかなり浸透してきたようです。
ロシアによる侵攻を機に変更
外務省は2022年3月31日、「ウクライナの首都等の呼称の変更」を発表しました。ウクライナの意向を踏まえた上での対応としています。
適切な呼称についてウクライナ政府の意向について照会を行っていたところ、今般、ウクライナ側から回答が得られたことから、ウクライナの首都の呼称をロシア語による読み方に基づく「キエフ」からウクライナ語による読み方に基づく「キーウ」に変更することとしました。(外務省ウェブサイトより)
毎日新聞でもこれに合わせ、2022年4月1日付朝刊から名称を「キーウ」に変更しました。ただし、当分の間は見慣れた「キエフ」と同じ都市であることが分かるように、記事中の初出は「キーウ(キエフ)」と書く運用をしています。今回の結果から見ると、遠からず(キエフ)という補足は不要になりそうです。
対露関係で呼称は変わる?
辞書を引くと、ウクライナ語のキーウのつづりは「Киïв」(英語でKyivに相当)、ロシア語のキエフの綴りは「Киев」(Kievに相当)とあります。Wikipediaのキーウの項目では発音も確認できますが、確かに違います。
日本での呼び方が変わった地名としては「ジョージア(グルジア)」が思い出されます。ジョージアもロシアとの関係の悪化をきっかけとして、ロシアの読み方に由来する日本語呼称を変更するよう働きかけたのでした。もっとも2015年の変更から3年後に実施したアンケートでも、7割に人が「まだ慣れない」と回答しており、定着に時間がかかっている様子がうかがえました。
今回のアンケートと比べると差がありますが、キーウの場合は戦争という残念な話題で登場する頻度が高いことによって浸透が進んでいるので、複雑な感じがします。
ところで毎日新聞では、外務省に合わせて全ての地名を変更したわけではありません。例えば「チョルノービリ」とされた「チェルノブイリ」はそのままです。呼び方の変更によって、それに付随する記憶が曖昧になることも考えられるため、慎重な対応が必要な場合もあることにはご理解いただきたいと思います。
(2023年01月19日)
先ごろ発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」で、ベストテンの一つにウクライナの首都の名称「キーウ」が選ばれました。2月下旬のロシアによる侵攻以来、戦争のニュースが届かない日の無かったことを考えれば、この一年を象徴する言葉として選ばれたのも納得がいきます。▲日本政府が「キーウ」の名称を使用するようになったのは3月31日から。毎日新聞もそれに合わせ、紙面では4月1日の朝刊から、記事中初出は「キーウ(キエフ)」、2回目以降はキーウのみという表記で掲載しています。旧来の呼称をカッコ書きで残しているのは、変更によって読者が戸惑わないようにするためです。▲以前、「グルジア」の日本語呼称が「ジョージア」に変更されたときも、しばらくは「ジョージア(グルジア)」と表記していましたが、最近は「ジョージア」とのみ表記することが増えました。「キーウ」も使用頻度考えれば、もう単独で使用しても違和感はないかとも思いますが、皆さんはどう感じるでしょうか。
(2022年12月26日)