広辞苑の発売に合わせた質問でした。
「に発売」が半数近く
広辞苑の第7版が12日に売り出されました。どの言い回しを使いますか? |
12日から発売 21.2% |
12日に発売 48.6% |
12日に発売開始 30.2% |
意見が割れましたが、どれかがはっきり正解という問いではないので、むしろ当然かもしれません。ただ、回答いただいた時の説明では「重複感が強い」とした「発売開始」を3割の人が選んだのはやや意外でした。
「発売」の語は、「売り出すこと」(大辞林3版)、「商品を売り出すこと」(大辞泉2版)、「うりだすこと。売出し」(広辞苑7版)と説明してあり、要するに「売り出す」ことをどう理解するかで、接続する語が決まってきます。
「に」を使うと答えた人は、売り出す=スタート、という意味に比重を置いたのでしょうし、「から」と答えた人は、売り出す=大いに売ること、と捉えているのだと受け止めました。
同じ語を使うにしても、助詞によってニュアンスの違いを出すことができる、と考えるのがよいかもしれません。
「発売開始」についても、重複感があるとはいえ間違いとは言えません。新聞は文字減らしの要請を強く受けるメディアなので、重複感がある語は削ってしまえ、というのは半ば体に染みついた振る舞い方なのですが、一般に重複感というものはさほど気にかけられていないという印象を受けました。
なお、この質問には4000件を超える回答をいただきました。仕事などでよく使う方が多いのか、あるいは広辞苑効果でしょうか。
今回の質問のように、はっきりした「正解」を示すことが難しいものについても、ご意見をうかがっていきたいと思います。
そうした問いからも、現在の言葉の使い方について一端をうかがうことができるなら、私たちにとっても、またブログをご覧の皆さんにとっても、言葉と付き合うに当たってのヒントになるのではないかと考えています。
今後ともご協力よろしくお願いいたします。
(2018年01月28日)
「発売」は「売り出すこと」(大辞林)。これを「売り始めること」と理解して「△日から発売」はおかしい、「△日に発売」「△日から販売」のどちらかにすべし、という指摘が出ることもあります。実際には「好評発売中」などの言い回しのように、積極的に売ることも「発売」という場合があり、「……から発売」が間違いとは言い切れないようです。「発売開始」とある場合には重複感が強いため、「発売」か「販売開始」のどちらかにします。
(2018年01月12日)