意外？実は“不正確”な五つの表現

一般によく使われている言葉遣いの中にも、厳密にいうと“不正確”なものがあります。

日常で耳にしたりすることは少なくないけれども、毎日新聞ではそのまま使わないように注意している……今回は、そんな五つの表現を選んでみました。

入籍

「結婚すること」の意味で使うのは旧制度の名残です。その意味を俗用として示している辞書もあります。

【直したい表現】「入籍」→「婚姻届を出す」 ◆現在は新しい戸籍を編製するので「入籍」は誤用となる。養子縁組や再婚では制度上、入籍となることもあるが、その場合もなるべく使わない— 毎日新聞・校閲グループ (@mainichi_kotoba) 2014, 6月 21

募金を呼び掛ける

「募金」に「おかねを寄付すること」という意味を記す三省堂国語辞典（第７版）も「あやまった使い方」と付記しています。（関連エントリー→「怪しげな『募金』に要注意」）

【直したい表現】「募金を呼び掛ける」→「募金への協力を呼び掛ける」　◆「募金(する)」は金を募ることで、寄付することではない。金を出す行為は「募金に応じる」「寄付する」などとする— 毎日新聞・校閲グループ (@mainichi_kotoba) 2013, 6月 8

断トツの１位

「トツ」は「凸」ではありません。「断トツの最下位」というのもやはり変です。

【避けたい重複表現】「断トツの１位」→○「断トツ」 ◆「断トツ」は「断然トップ」の略— 毎日新聞・校閲グループ (@mainichi_kotoba) 2014, 7月 19

無断引用

「引用」は、そもそも無断で、許容される範囲で行うものなのです。

【直したい表現】「無断引用」→○「無断転載」　◆「無断引用」は誤り。著作権法でいう「引用」は、同法で認められた範囲・方法で著作物を無断で利用すること。「転載」は「引用」範囲を超えた行為で、許可を得るなどの手続きが必要。無許諾の複製による利用は「無断転載」「盗用」「不適切引用」— 毎日新聞・校閲グループ (@mainichi_kotoba) 2014, 3月 17

至上命題

三省堂国語辞典（第７版）は採用している言葉ですが、あやまって使われていることも示しています。

【直したい表現】「至上命題」→○「至上命令」「最重要課題」「絶対の使命」◆「命題」は「ＡはＢだ」のように判断を文で表した論理学用語。「課題」「命令」と混同される。絶対に従わなくてはならない命令、任務は「至上命令、絶対の使命」、必ず達成しなければならない課題は「最重要（最大）課題」— 毎日新聞・校閲グループ (@mainichi_kotoba) 2014, 3月 11