料理店やお菓子屋さんなどのお店を紹介する原稿を読むとき、料理名や商品名、値段といったものが書いてあれば、まずはインターネットでお店のサイトを検索して確認します。しかし、それだけでは調べがつかないことも出てくるのです。料理名や商品名はすべてがサイトに載っているわけではなく、お店を訪れた人の感想などがネットに投稿されていても、変換ミスなどの恐れがあるため確信が得られないことがあります。
電話番号が非公開という、とあるお店の原稿を読んだときのこと。もちろん自店のサイトも作っていないため、原稿に書かれた料理名と値段が正しいかどうか確認できません。大手のサイトにもいくつかのメニューは載っていますが、原稿に書かれたものは見つからないという具合でした。これはもうお手上げかと思い、原稿の横にあった写真に目を移したそのときです。なんと、そこにはお店のメニュー表が写っていて、しかも値段までばっちり読めるではありませんか。すぐそばに答えがあったなんて……。
写真から得られる情報といえば、こんなこともありました。
「野菜を極めたラーメン」が自慢のお店を紹介する原稿を読んだときのことです。麺やスープにまで野菜を使うこだわりのラーメンについて、「蒸したキャベツ、ポテト、カリフラワー、パプリカなど華やかな彩りが食欲をそそる」と、トッピングまで詳しく書かれていました。そのラーメンの大きな写真が添えてあるのですが、コピーしたゲラを読んでいた私には「ポテト」がよく分かりません。パソコンでカラー写真を確認したところ、そこにはさいの目切りのジャガイモがちゃんと写っていました。「ああ、これか」と納得した次の瞬間。形こそカリフラワーに似ているものの、緑色をした野菜が写っているではありませんか。おかげで「ブロッコリー」に直すことができました。
しかし、毎回、知りたい情報がそばの写真に写っているわけではなく、いつもうまくいくとは限りません。それでもあきらめきれずに確認したい、そんなときは、インターネットの口コミサイトなどにある、お店を訪れた人の投稿写真を参考にすることもあります。その中にメニュー表やショーケースなどの写真が掲載されていることがあり、確認作業に一役買っているのです。もちろん、値段などは変わっている場合がありますから、あくまでも参考ですが、原稿と食い違いがあれば、筆者に問い合わせをする根拠にはなるでしょう。
お店の話題に限ったことではありませんが、写真に写った情報をもとにして原稿の間違いに気づき指摘したということは何度となくあります。文字情報だけではなく、写真から得られる情報もうまく利用することで間違いを未然に防ぐことができるのです。
【尾形美保】