by Tim Pearce, Los Gatos |
今年は9月半ばを過ぎても気温30度を超す真夏日が続き、早く涼しくならないかと思っていた方も多いことでしょう。さて、季節を表す言葉の一つに二十四節気があります。1年を太陽の動きにあわせて24分割し、約15日ごとに季節を表します。では、二十四節気で、秋に入ることを意味する「立秋」は、今年はいつだったのでしょう? 実は、暑さも「熱さ」も真っただ中、ロンドン五輪期間中の8月7日でした。「暦の上では」もうすっかり秋だったんですね。
思い起こせば数年前、フラミンゴの求愛シーズン到来を伝える記事が掲載されました。当初「真冬でもアツアツ」とつけられた見出しに、一瞬ペンが止まりました。というのも、その日は2月半ば。寒さが残り、春はまだまだ先といった感じではありましたが、立春(その年は2月4日)を過ぎていたため、「真冬でも」の表現には違和感が拭えません。結局、その旨をアピールして、「寒くても」と直すことになりました。
毎日新聞では、二十四節気に該当する日を1面で紹介しています。二十四節気は古代中国の黄河地方で作られたので、そもそも現代の日本の気候とは1カ月ほどずれているようです。しかし、日本気象協会が「日本版二十四節気」を作成しようとしたところ、「歴史的、文化的意義を無視しないで」といった反発の声が多く寄せられたといいます。世間では二十四節気を記載したカレンダーが多く見られ、冬至にカボチャを食べてユズ湯に入るという家庭もそれほど珍しくないと思います。今でも二十四節気による節目が大事にされているのをみると、「真冬」の見出しは見過ごせない、と思ったのでした。
4月になっても雪が降ったり、10月近くなっても厳しい暑さが続いたりするので、今、自分がどの季節にいるのか分からなくなってしまいますし、気候の「異変」もよく話題になります。しかし、毎日お届けする新聞だからこそ、「季節感」は大事にしたいと思って目を光らせています。
今シリーズでは、新聞をつくる過程で気になった季節や気象に関する事柄、慣用表現などに焦点を当てて取り上げていこうと思います。
【尾形美保】