ラブ(ゲーム) 得点がゼロのこと。ラブゲームは相手の得点がゼロのままゲームを取ること
錦織圭選手の活躍によって、テニスがこれまで以上に注目を浴びることとなりました。2015年、錦織選手はツアー開幕戦、ブリスベン国際でシングルスベスト4、その勢いのまま全豪オープンへ。フェレールを破りベスト8まで勝ち進みました。去年の王者ワウリンカには及ばなかったものの、注目の度合いは高まる一方です。
錦織選手が世界のトップ選手を相手に、巧みなフットワークと鋭いショットで支配的なラリーを展開していくさまには驚きます。息をのんで観戦されている方も多いのではないでしょうか。
錦織選手が世界のトップ選手を相手に、巧みなフットワークと鋭いショットで支配的なラリーを展開していくさまには驚きます。息をのんで観戦されている方も多いのではないでしょうか。
冒頭の「ラブ(ゲーム)」は毎日新聞用語集の運動用語から引用しました。テニスを観戦していて、疑問に思われた方もいるかもしれません。なぜゼロのことをラブというのか、なぜ15・30・40とカウントするのか―。そこで今回はテニスの得点に関する由来を紹介させていただきます。
調べてみると、得点の由来にはさまざまな説が存在するようです。ここではその一部を取り上げました。よくよく考えるとピンとこない説もありますが、そうなのかなぐらいの温かい目でご覧ください。説の名称は筆者が勝手に付けました。
なぜゼロをラブ?
①卵説<数字のゼロ(0)の形を卵に>
テニスのような球技がフランスではやる→ゼロにあたる言葉がない→ゼロを卵にたとえフランス語(l’œuf)を使用→イギリスにわたりloveに言い換えられた
数字のゼロを何かにたとえる表現はいまでも残っています。6―0、6―0で負けることをダブルベーグルと言うこともあります。
②連想説<loveからnothingやzeroへ>
「for love」(好きで、無料で)から「for nothing」→nothingということはzero→よって、love=nothing=zero
ちょっとくるしいですかね。
③名誉説<名誉をかけて>
名誉をかけて勝負を始めるということから→名誉を意味するオランダ語(lof) →音の近いloveに
名誉はお金と違って形のないものであり、ゼロと結び付けられたという説です。なんだかカッコいいですね。
④愛情説<やさしさからうまれた表現>
1点も取れなかった相手に対し「ラブ」とやさしくなだめた
すてきな説ですが、かえってつらいのではと思います。
なぜ15・30・40?
Ⅰ時計説
時計を4分割して、1周すると1ゲームが終わる。実際に得点を記録するのに時計を用いたとする説。でも、なぜ1ゲーム=4ポイントなのでしょうか。
Ⅱ貨幣説
テニスが賭けの対象で1ポイントにつき1枚硬貨を払っていたという説。その硬貨の単位が1枚15スーといい、60スーで1ドゥーニエという次の単位になった。4ポイントで1ゲームの説明はこの説だとしっくりきます。
Ⅲ修道院説
テニスのような球技が修道院で行われていて、修道院が15分刻みの生活様式だったという説。Ⅰの説を補強しそうな話です。ここである疑問が浮かびます。15・30ときたら45では?
これには英語で45(forty – five)が発音しにくかったからという説があります。テニスのような球技がイギリスに伝わり、45が40(forty)になっていったというものです。45と口ずさんでみてください。そんなに発音しにくいかなと思った方、では次にテニスのスコアのように二つ続けてみてください。45―15(forty – five , fifteen)などはどうでしょう。言えても流れが悪いようにも感じます。
でも、そもそも言いにくかったら15・30……というのをやめて1・2……にすればよかったのにと思います。ちなみにソフトテニスでは1―0(ワンゼロ)、2―2(ツーオール)のようにカウントします。
これからテニスを観戦する際に、スコアの呼び方ひとつをとっても諸説あり、そこには長い歴史がつまっているのだなと感じていただければ幸いです。