「予備軍」か「予備群」かお聞きしました。
「予備軍」と「予備群」きれいに二分
暴飲暴食して運動をしない人はメタボの……? |
予備軍 49.9% |
予備群 50.1% |
「予備軍」派と「予備群」派にきれいに二分されました。
大辞泉(2版)では「予備軍」「予備群」両方を見出し語に採用しており、「群」の方で「ある状態、ある病気になる可能性のある人々」との意味を載せています。補説を引用すると、
『予備軍』からの転用か。『メタボリックシンドローム』以来、医学用語として多用。新聞などでは『予備軍』『予備群』ともに使っている。
アンケートの結果も、両方が使われている現状を反映しているようです。
「群」が使われるようになってきたのは、疫学調査の際にデータを取るグループを「群」と表すこと、「軍隊」を連想させる「軍」よりも気分的に使いやすいことの二つの事情があるのでは、と推測しています。
新聞では元々の表記である「予備軍」を使う傾向があり、用語集で「予備群」は誤りとする社や、「予備軍」に統一することを定めている社もあります。
毎日新聞も「予備軍」が多数派ですが、「テロリスト予備群」「移民予備群」といった表記をする記事もありました。医療分野以外での使用が拡大する可能性もありそうですが、これらはまだ違和感を持つ人が多数派でしょうか。
(2018年05月04日)
元々ある言葉は「予備軍」の方で、文字通り予備の軍隊のこと。これが転じて「(比喩的に)将来そうなりそうな人々」(日本国語大辞典2版)の意味で使われ、新聞での用法はほぼこちらです。同じ意味で「予備群」表記も見かけますが、三省堂国語辞典7版は「俗に『予備群』とも書く」として俗用扱い。
しかし特に医療分野で専門家は「予備群」を使い、厚生労働省の文書でも「糖尿病予備群」「生活習慣病予備群」などと書かれています。毎日新聞では「予備軍」表記が多数派ですが、「群」も2000年代後半から医療関係記事でよく見られるようになり、新しい表記として広がっているようです。
(2018年04月16日)