不意の大雨で交通状況が悪化することが増えたようです。異常気象の影響を感じます。利用客の多い路線で起きたオーバーラン。速報するために急いで原稿が出てきましたが、表記の使い分けで校閲からブレーキをかけ、適切な表記に直してから「発車」しました。
「利く」は「役に立つ、利用、機能」に関して使います。機転が利く、暖房の利き過ぎ、ブレーキが利くなどです。「効く」は「ききめがある、効果」に使い、薬が効く、宣伝が効くなどです。
「越える」は「通り過ぎる、年月を経る、越権」の意味なので「停止位置」は「越えた」です。「上に出る、超過」を意味する「超える」と区別しています。
「異常気象」のように「見た目」の定着度が高いと「異状気象」でもいいかと迷ったりしませんが、「きく」や「こえる」は、用語集を見直して丁寧に点検しています。
きく
利〔役に立つ、利用、機能〕
顔が利く、利いたふう、利かん気、利き腕、利き駒、利き酒、利き目で見る、機転が利く、口を利く、昆布だしが利く、暖房の利き過ぎ、左手が利く、ブレーキが利く、目端が利く、融通が利く
効〔ききめがある、効果〕
効き目がある、薬が効く、宣伝が効く
こえる・こす
越〔通り過ぎる、年月を経る、越権〕
買い越す、垣根を越える、勝ち越し、悲しみを越えて生きる、K点越えのジャンプ、権限を越える、国境を越えて亡命、三段跳び・走り幅跳び・棒高跳びで○㍍を越す、峠を越える、度を越した冗談、難関を乗り越える、…に越したことはない、野越え山越え、八十の坂を越した父、引っ越す、冬を越す、分を越えて、見越す、持ち越す
超〔上に出る、超過〕
基準を超える、国境を超えた愛、10万人を超す、制限量を超える、定員を超える、党派を超えて、20年を超える年月、能力を超える、80歳を超える、目標を超す額、予想を超える
注:「勝ち越し」「乗り越える」などのように他の動詞と複合する場合には原則として「越」