オスの牡馬(ぼば)とメスの牝馬(ひんば)の取り違え。「牛にヒ(匕)はヒんば」と覚えましょう。ちなみに「牡」「牝」は常用漢字表に含まれない表外字ですが、新聞では「牡馬」「牝馬」にふりがなを振りません。そのような例は、実は数多く存在するのです。
新聞の言葉のルールは、国が漢字使用の目安として示した常用漢字表を参考にしており、表に記載のない漢字や読みを用いる際は、原則的にふりがな(ルビ)を振るかひらがなに開かなければいけません(固有名詞は除く)。
一方、使用実態に鑑みて独自にルビ不要と判断している熟語もあり、「牡馬」「牝馬」はこれに当たります。実は「貫禄」「肛門」「裸足」「幸先」「明太子」「関脇」「桂馬」なども、常用漢字表に記載のない漢字や読みが含まれているのですが、わざわざルビを振ってはいません。競馬では「産駒」も、「駒」のクの音が表外読みですが、やはりルビ不要です。この指定には新聞各社でつくる新聞用語懇談会の議論が反映されるほか、毎日新聞が独自に指定することもあります。
同種の言葉を毎日新聞用語集から拾うと「竪穴」「一揆」「荘園」「庄屋」などの歴史用語から「雲母」「華僑」「般若」「殺陣」といったものまで幅広く見つかります。中には「人身御供」「刃傷」など、最近ではあまり使用例のないような言葉も……。これらはいずれも毎日新聞ではルビを振らないことになっているのですが、皆さんは全て読めるでしょうか?
「各社同じように悩んでいると知って刺激を受けた」。マスコミの用語担当者が集まり、表記の原則を決める日本新聞協会の用語懇談会は、交ぜ書きや漢字制限緩和などの難題にどう取り組んだか。元産経新聞校閲部長の時田昌さんを迎え、語り合いました...
先日このブログで、新字と旧字、異体字について記事を書いた(「御嶽山」と「御岳山」の違いとは?)。今回はさらに「表外字」というものについても触れたいと思う。表外字とは、常用漢字表(日常生活で普通に用いると文部科学省が定めた字。201...