大阪・梅田に量販店の旗艦店がオープン。式典で役員が「品質、価格、サービス、ユーモアと大阪の人の目にかなう店を目指す」とあいさつしたが、「目上の人に認められ気に入られる」意の慣用句「(お)眼鏡にかなう」のつもりで言ったようだ。「眼鏡」は物事の善悪や人の資質などを見抜く力。
ただここは大阪人を「お目が高い」と目上に見立てたお世辞か、単に「好かれる」や「目につく」意味か、ニュアンスが判然とせず、肉声でもありそのままに。
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「ひもとく」をひもとけば……
ある建築史家が「古代からの日本の住宅の歴史をひもときながら~と述べた」の一文。「ひもとく」は一般的に「書物を開いて読む」こと。本来、和書などを包む厚紙の覆い(帙=ちつ)のひもを解くことを指した。「宇宙の成り立ちをひもとく」など、「解明する」「明らかにする」の意味で用いられることもあるが、違和感を持つ人も多い。
大阪本社で開催された関西地区新聞用語懇談会のアンケートでも取り上げられた。「17年間にわたる逃亡生活の様子が徐々にひもとかれてきた」という用例に対して、その定着を認めつつも、21社中20社が「明らかになってきた」や「分かってきた」に直すと回答している。
ただし、今回は筆者の要望で原文を生かした。「住宅の歴史書を読み込んだ」というふうにも取れるからだろうが、それでも「参照しながら」「例示しながら」などの表現の方が、よりふさわしかったかもしれない。
企業を起こすのが起業
紙面で紹介された、ある大学の市民向け講座の副題に「起業の社会的責任(CSR)を再考する」とあった。CSRは「Corporate Social Responsibility」の略で、毎日新聞では「企業の社会的責任」に訳語も統一している。確認すると単なる誤記だった。
ある企業の創業100周年の記事では「1914年、ブドウ栽培から事業を興した」とのくだり。「起業」は「起こす」、「振興」を意味する場合は「興す」と使い分けている。事業を盛んにしたというよりも、同年創業したのだから「起こした」の方が適切だ。
緩急自在のサウスポー!?(入力ミスから)
×伊原純一アジア太洋州局長→○アジア大洋州局長
×浅芽生→○浅茅生(あさぢを)=滋賀県産の日本酒
×第1戦から打席不振→○打撃不振
×御七日御修法→○後七日御修法(真言宗の最高儀式)
×救援登板した変速左腕→○変則左腕
以前、新型車の紹介記事で、エンジンの回転速度を連続的に変えられる変速機(トランスミッション)である「無段変速機」が、「無断変速機」になっていて、焦ったことがあります。
【谷沢玲】