法的に結婚することを「入籍する」と表現されることは多いのですが、入籍とは、既にある戸籍に入ること。現在は結婚すると新しい戸籍が作られるのが基本なので「入籍」は誤用になります。そのため新聞では「婚姻届を出す」などと書くのを原則としています。
戦前は、いわゆる家制度で、「妻は婚姻によって夫の家に入る」と旧民法の条文に書かれていました。例外的な場合を除いて、夫の入っている戸籍に妻が加わる仕組みで、女性にとって結婚することは「入籍」にほぼ当てはまっていたと言えます。
しかし今は、戸籍法で「婚姻の届け出があったときは、夫婦について新戸籍を編製する」と定めている通り、多くの場合はどちらか一方が相手の戸籍に入る仕組みではありません。
「新しい戸籍に2人で一緒に入る」というイメージで入籍という言葉を使う方もいるかもしれませんが、辞書でも「俗に婚姻の意に用いられるが、正しくは『新たな戸籍を作る』ので『入籍』にはあたらない」(新明解国語辞典8版)、「初婚の二人が親の戸籍から離れて新たな戸籍を作る場合に『入籍』と言うのは、不適切」(明鏡3版)と注意喚起しているものがあります。