「財政の再建」といいますが、財政を「たてなおす」と書く場合は、新聞では「立て直す」を使います。同じ語源の「建て直す」は「古い建物をこわして新たに建てる」(広辞苑7版)といった建築関係に使い、一般用語は「立て直す」という使い分けです。
使い分け
たてなおす
立て直す〔一般用語〕
経営を立て直す、計画を立て直す、体勢を立て直す
建て直す〔建築〕
家を建て直す
「建て直す」を用いる範囲については、辞書によっても違いがあります。
広辞苑7版は「立て直す」を「①直して以前のようにする。回復する」「②改めて立てる。また、最初からやり直す」とし、「建て直す」と分けています。岩波国語辞典7新版は「立て直す」のみ立項し「▽家の場合は『建て直す』と書く」と注記しています。
一方、大辞泉などのように、「立て直す」の項で「悪くなったものを、再び以前の状態に戻す。再建する」という意味は「建て直す」とも書くとしているものもあります。また、三省堂国語辞典7版などは、「立て直す」の「だめになりかかったものを、よい状態になおす」によく似た「つぶれかかった会社などを、もとどおりにする。再建する」を「建て直す」の項に加えています。いずれも「再建」に対応する場合は、一般に「建て直す」とも書かれることを示しているようです。
その他、三国では「立て直る」「建て直る」という自動詞を認めているのが目を引きました。どのように使われるのでしょうか。