「ひとり勝ち」は勝ちを独占すること。そういった意味の「ひとり」は「独り」がしっくりきます。他に、別の数字に置き換えられる人数を表す場合は「1人」、そうでないものは「一人」とすると違和感が少なく書けます。これらの迷いやすい使い分けについてまとめました。
目次
「独り」は独占、独断、孤独
「独り勝ち」のように「独り」を使うのは、独占や、独断、孤独の意味が強い場合です。
「1人」と「一人」の使い分けは
洋数字の「1人」は内訳を示す場合など他の数に置き換えても文意が通じる場合に用います。
漢数字の「一人」は、ことわざ・成語・熟語などのほか、表現を強調する場合、単独の意味合いの強いもの、…の一員の意味など他の数に置き換えられないものに使います。
1人当たり、(3人のうち)1人が逃走、1人ずつ、1人分、あと1人
一人〔他の数字と置き換えられないもの。他と切り離された単独、個々。一員〕
ただ一人、誰一人、一人口は食えない、一人旅、一人っ子、一人天下、一人として、一人ならず、一人一人、一人前に育つ、一人息子・娘、メンバーの一人として活躍、一人残らず、人っ子一人、続く者は一人もいない、一人はみんなのために
「一人歩き」と「独り歩き」の違い
「ひとり歩き」のように、使い方によって「一人」と「独り」を使い分ける言葉もあります。
2人や3人などに置き換えにくい言い方なので「1人」とはしませんが、人数に重点があるときは「一人歩き」、独立してという意味の場合は「独り歩き」を使います。
夜道の一人歩きは危険
独り歩き〔独立〕
言葉の独り歩き、独り歩きのできる子供
「ひとり暮らし」「ひとり住まい」は3通り
「ひとり暮らし」「ひとり住まい」は「1人」「一人」「独り」の3通りで使い分けます。
2人暮らし、3人暮らしという言い方もできるので、基本的には「1人暮らし」でよいのですが、「気楽な一人暮らし」のように、語としての一体感が強く、別の数字に置き換えにくいものは「一人暮らし」と漢数字を使っています。
また「ひとり暮らしの高齢者の問題」のように、「孤独」の意味が強調される時は、「独り暮らし」の方がよいでしょう。
「ひとり暮らし」を例にしましたが、「ひとり住まい」も同様です。
気楽な一人暮らし、1人暮らし世帯、アパートに1人住まいの生活、一人住まいの気安さ
注:他の数字と置き換えにくいものは漢数字にするが、迷う場合は「1人暮らし」「1人住まい」を使う。
独り暮らし・独り住まい〔孤独の意〕
独り暮らしの高齢者の問題、わびしい独り住まい
こちらの動画では、より一般的な漢数字・洋数字の使い分けについても解説しています。よろしければご覧ください。