3月21日にイベント「国語辞典ナイト」が開かれました。25回目となる今回は、バラエティー番組「辞書で呑む」でおなじみのお笑いコンビ「ラランド」ニシダさんがゲスト! それだけに「攻めた」「大人な」内容になっており……はてさて、リポートはどこまで書いたものやら。とりあえず、ニシダさんの辞書遍歴から。

2026年最初の「国語辞典ナイト」が3月21日に開かれました。国語辞典ファンが集う人気イベントももう25回目。今回はお笑いコンビ「ラランド」のニシダさんがゲスト! それだけに「攻めた」「大人な」内容であることが予告されていました。のっけからニシダさんの暴言が……はてさて、リポートはどこまで書いたものやら。
【平山泉】
「国語辞典ナイト」とは
2014年11月から不定期に開かれている国語辞典を楽しむイベント。国語辞典を引き比べたり、まじめに語ったりする一方、時に厳しく突っ込みを入れるわ、からかうわ……そして毎回、会場に辞書愛をあふれ返らせて終わる。辞書を使って遊ぶ多彩なゲームも魅力。
レギュラーメンバーは三省堂国語辞典(三国)編集委員の飯間浩明さん、ライターの西村まさゆきさん、「辞書ソムリエ」で校閲者の見坊行徳さん、「辞書コレクター」で校閲者の稲川智樹さんの4人。
18年の第7回には毎日新聞校閲センターの平山泉がゲストで登壇した。
司会の今野絵理さんから、普段よりも「大人な言葉」を扱っていくことが説明されると、飯間浩明さんは「私、反対したんです。このテーマだと後でネットニュース書いてくれないと思うんです」。はい、このリポートも書きにくいです。だから掲載が遅くなったとは言い訳できませんが……。
ゲストとして登場したニシダさんが早速「やっぱり言わないと。辞書に女性器名称載ってない問題」。波乱の予感。
気を取り直してニシダさんの略歴を紹介しつつ「辞書遍歴」が披露されます。
そもそも今回ゲストとして呼ばれることになったのは、テレビ東京のバラエティー番組「川島明の辞書で呑む」に「辞書好き店員さん」として出演しているため。飯間さん、見坊行徳さん、稲川智樹さんも解説役で出演したことがあります。8月23日には東京・有明の東京ガーデンシアターでリアルイベントも開催されます。
西村まさゆきさん 芸人さんの中では唯一の辞書オタクですよね。
ニシダさん (なぜ辞書好きになったのかというと)初めて触れた辞書が新レインボー小学国語辞典だったのですが、当時、金田一秀穂さんがよくテレビに出てらっしゃって、この人が書いているんだ!と思って。
稲川さん 小学生からすごい筋金入りですよね。
小学生のころはドイツやスペインにいて、それだけに「辞書は持っておいたほうがいい」ということで自宅には広辞苑などがあり、身近だったそうです。現地の日本人学校で「配られたか買ったのが新レインボー」(ニシダさん)。そして、小学生が辞書好きになる過程が語られます。
ニシダさん やっぱ辞書を好きな人って、友達少ないと思うんですよね。ここに登壇している全員、友達少ないと思うので。
飯間さん それは真理です。
ニシダさん 小学校の時に友達が遊んでいる輪に入れなくて、辞書を読んでいたというのが原体験です。
中学時代も広辞苑やジーニアス英和辞典を読んでいたというニシダさん。
ニシダさん 辞書を毎日リュックに入れて学校に持って行きました。友達いなくて、辞書が友達って……辞書が好きな人って、そもそも辞書が好きなのか、暇で辞書を読み始めて好きになるのか、どっちなんですか。
飯間さん 鶏が先なのか卵が先なのか……。
稲川さん 僕も教室の後ろにある辞書を……。
飯間さん ニシダさん、電車の中で辞書読めます?
ニシダさん 電車の中で辞書読んでました。その時間、結構好きでした。
飯間さん 電車の中で英和辞典を見ていたら、ライバルの高校のやつが「なんかイキってやがる」みたいに、こっちを指さして……という思い出が。
稲川さん 僕も電車の中で英和辞書読んでたら、ヤンキー校のやつがしゃべりかけてきて、怖くて逃げるっていう……。
ニシダさん 電車の中で辞書読んでるやつなんて、そうそういないですから。
稲川さん でもここに3人いるわけですよね。
西村さん この空間特殊ですから。3人いるといっても。
ニシダさん 辞書って何の癖もなくて、いつでも読めます。
稲川さん わかります。
飯間さん それは、辞書のメリット。いつでも読めるんですね。
ニシダさん 刑務所とか入ったら辞書が欲しいですね。小説だと、こんな幸せな話を読んでも……とか気分が乗らないってのがあるけど、辞書ならずっと読める。
稲川さん 夢想しますもん。刑務所に入りたいな。読めるじゃん。
刑務所に入りたいという共感……いや、だから、ここ特殊な人しかいないから!
西村さんが「辞書遍歴」の中から「中学生の時に仏教辞典?」と突っ込みます。ニシダさんが通っていた中高一貫の男子校は仏教校だったそうで、「住職で英語も教えている方がいて、『法事に行く前とかは仏教辞典を調べて何を話すか考える』というんで、『そんなのあるんですか』って言って」仏教辞典をもらって読んでいたとのこと。
飯間さん 私も職業柄、いくつか持ってますけど、エピソードや由来が書いてあったりするんですよね。
ニシダさん この葉っぱはこのタイミングで出てきてありがたい葉っぱです、みたいな。そうか、ブッダの苦行の時に出てきた葉っぱだからありがたいんだ、みたいなのがわかるやつですね。
へえ……仏教辞典に興味が湧いてきました。
さらに、ニシダさんの動画から部屋に「てにをは辞典」があることを見つけた稲川さん。「ガチだな……」と感嘆しています。
ニシダさんはそれだけでなく最近「てにをは連想表現辞典」も買ったそうで、「これも面白いんです。いろんな作家さんの用例が引かれていて、その作家名や作品名もわかる」。小説を書く際に活用しているとのことでした。
こんなふうに、動画で本棚から辞書を見つけることを楽しんでいる稲川さん。ニシダさんは「だからダサい本を置けないですよね。(このイベントの打ち合わせで)Zoom会議をやったとき、みんな(画面の背景に)辞書を背負ってるみたいな」。もう打ち合わせのときから、けん制し合っていた?
辞書遍歴に戻りますと、中学で新明解国語辞典を買い、大学で三省堂国語辞典が加わっています。
またオタクのやりとりが始まりました。
ニシダさん 一番最初に買った三省堂国語辞典は神保町の古本屋だったと思います。20歳でした。2014年。
飯間さん その時の古本ならば第6版かな。
ニシダさん 6版とかだと思いますね。辞書ってやっぱり、やっぱいろんな版を見たいじゃないですか。
稲川さん みんなそうだと思いますけど。
西村さん ここに来ている方みんなそう。
ニシダさん いろんな版で見たいから、第6版をまず買って、その後7版も出たら買ったんじゃないかな。結構だから同じ辞書が家に何冊もあるという感じです。
西村さん 版違いを。
ニシダさん 版違いのやつを何個か持ってました。
……やっぱり特殊な人しかいない。
辞書アプリを使うこともあるというニシダさんですが、紙の辞書について「一番読書の喜びというか、物としてある本のめくる喜びが強いのは辞書のような気がする。辞書ってなんかいい紙なんです。で、使い込んだ感じが出やすい。だから、割と家でも読む時は読むという感じですね」。
「本当にガチの辞書オタクですね」(飯間さん)、「想像以上でした」(西村さん)、「変態に近づいている」(稲川さん)、「ウエルカム」(飯間さん)とレギュラーメンバーは大喜びでした。
さて、ここまで楽しい辞書オタクトークでしたが、次回は各プレゼンを紹介していきますね。全体のテーマがこちら……。

つまり、「辞書は言葉をわかりやすく説明しようとする一方、ちょっと大人な言葉を遠回しに上品な書き方をするというイメージがあるのでは」(今野さん)ということで、それぞれテーマを持ち寄ったとのことです。どうなることやら……適宜はしょりながら紹介します。
(つづく)

