「ダイアベティス」という言葉について伺いました。
目次
「分かる」は4分の1にとどまる
「ダイアベティス」――意味は分かりますか? |
分かる 25.1% |
何となく察しはつく 5.7% |
分からない 69.2% |
「ダイアベティス」とは何のことかを伺った質問で、「分かる」とした人は4分の1にとどまりました。とはいえ、出題者としてはもっと少ないかと予想していましたが、分かる人が積極的に答えてくれたのかもしれません。それでも7割は「分からない」のですから、浸透までには相当な時間がかかりそうです。
不適切なイメージ解消めざす
「ダイアベティス」は「糖尿病」に代わる呼称として提唱されている呼び方です。昨年9月、日本糖尿病学会とJADEC(日本糖尿病協会)が変更を提言しました。ダイアベティスは、英語の名称「Diabetes」をカタカナ表記したもの。JADECはこの6月、「日本糖尿病協会」から「Japan Association for Diabetes Education and Care」の頭文字を取ったJADECに名称を変更し、脱「糖尿病」を目指す姿勢がうかがえます。
「糖尿病」の呼称を退けるのは、尿に糖が出ない患者も多く病態を正確に表していない▽「尿」が不潔なイメージにつながり誤解や偏見を生んでいる――といった理由があるとのことです。病名変更ではなく、あくまで呼称の変更を呼びかけたものです。
他の候補もあるが…
ただし、「ダイアベティス」というカタカナの呼称には、反発というよりは懸念や戸惑いの方が先に立つようです。アンケートの結果で「察しがつく」という人が5%程度だったことを見ても分かるように、カタカナ語では字面を見て意味の見当をつけるということが難しい。分かる人には分かるけれども、分からない人には分からない、という言葉になるわけです。
ほかに考えられる呼び方をネットで検索してみると「高血糖症」「インスリン作用不全症」「糖代謝症候群」「糖代謝異常症」などが見られます。どの呼び方も一長一短あるようですが、「ダイアベティス」も医師を対象にしたアンケートでの評判は良くないようで、今後の成り行きが気にかかります。
戸惑いは禁じ得ず
仮に「ダイアベティス」に呼称が変更されたとしても、新聞などメディアでは当分の間、「ダイアベティス(糖尿病)」と表記されることは間違いありません。かつ「ダイアベティス」は「糖尿病」と書くよりも字数が要るので、繰り返し書く場合には「糖尿病」の方が使い勝手がよいということにもなりそうで、変更に反対するというわけではありませんが、扱いに困るという印象はあります。
あえていえば、IT用語のような広がり方を狙うものでしょうか。「アプリ(アプリケーション)」はいつの間にか浸透して、以前は「ソフトウエア」「プログラム」を使っていた場面で使われるようになりました、「SNS」も「はっきり説明はしにくいが、何となく、そういうもの」として受け入れられています。とはいえ、これらの言葉はインターネットや手元のスマホなどを通じて雨あられのように浴びせられることで浸透したものです。「ダイアベティス」がそうなるという見通しは現状では立ちにくく、浸透するとしても数十年という単位で時間がかかるのではないかと感じます。
(2024年06月10日)
答えからいうと、「ダイアベティス」は「糖尿病」の新しい名称として、日本糖尿病学会と、医師や患者らの団体「日本糖尿病協会」が提唱している呼び方です。糖尿病を意味する英語の「diabetes」をカタカナで表記しています。
日本糖尿病協会の作業部会の資料を見ると「病名が直接的・間接的に生み出す誤解や誤った印象を取り除く上で新たな呼称提案は重要である」とあります。資料には「糖代謝症候群」のような漢字を使った名称候補もありましたが、世界的にも通じやすい「ダイアベティス」でまとまったとのことです。
カタカナ表記は、見ただけで意味を取ることは難しいのですが、慣れてしまえば気にならないものでしょうか。とりあえず現時点でどの程度認知されているか、皆さんに伺ってみたいと思います。
(2024年05月27日)