小数の場合の、100分の1の位の呼び方について伺いました。
目次
「小数第2位」では物足りない?
円周率はおよそ3.14――下線部をどう呼びますか? |
小数第2位 24.7% |
小数点第2位 36.6% |
小数点以下第2位 38.7% |
ほぼ3分されましたが、4分の1ほどを占めた「小数第2位」がやや少なく、「小数点第2位」と「小数点以下第2位」が4割弱で均衡しています。教科書で教わる「小数第2位」では、なんだか物足りないという回答が多数を占めました。
「小数」は何を指すか
小数を習う小学3年生の算数の教科書には「小数点のすぐ右の位を、小数第一位といいます」(「新しい算数 3下」東京書籍、2020年)と書かれています。ということで、質問文の場合には「小数第2位」が、学校で教わる標準的な呼び方と言えます。
そもそも「小数」とは何でしょうか。質問文の例ならば
・「3.14」全部で「小数」
・小数点より下の「0.14」部分が「小数」
という二つの考え方ができそうです。
小学校の教科書は「1.3や0.8のような数」を小数というとしており、整数部分に1以上の数があるものも小数と認めます。説明を簡単にするためという印象も受けますが、国語辞典の説明も同様のものが見られます。
0と1の間の数を0.23のように整数の記数法で表したときこれを純小数、純小数に0でない整数部分を付けて3.75のように表した数を帯小数という。これらを一括して小数という。
(大辞林4版)
要するに、0と1の間の部分を持つ数を引っくるめて「小数」と呼ぶということですが、特に小数点以下の部分が「純小数」で、ここが小数というものを特徴付ける部分であることは間違いありません。「3.00」のような表記をするとこれも小数にも見えますが、「0と1の間」の数を持たないため、小数と呼ぶことはできません。
「小数点」で区切りを明示
「小数は、十進位取り記数法を1より小さい方へ広げたものといえる」(日本大百科全書の「小数」の項)という説明もあります。1以上の部分には既に「1の位」「10の位」といった呼び方がある以上、「小数」といった場合には小数点より下であることは自明であって、「小数第1位」という呼び方で十分なのだと考えられます。
とはいえ、やはり「小数第1位」では据わりが悪く感じられるのでしょうか。区切りである「小数点」を明示して、それより下の位であることをはっきりさせる誘惑に駆られます。そしてその誘惑は、今回のアンケートの結果から見ると、4分の3ほどの人にとって魅力的なものであるようです。
「小数第2位」でよいが、他の書き方も使われる
校閲センターのX(ツイッター)へのコメントでも「小数第2位は、はしょりすぎ」といった声が寄せられました。はしょっているわけではないのですが、そのように感じられてしまうのです。
「小数第2位」が標準的な書き方であることを踏まえた上で、それ以外の書き方も理解の妨げにはならない以上、許容されると見てよいのではないかと考えます。
(2024年04月22日)
子どもの頃に習ったはずのことでも、大人になると考え込んでしまうことがあります。小学生向けの算数の本を見ると、100分の1の位の呼び方は、選択肢の中で一番シンプルな「小数第2位」と書かれています。それでよいなら、それで済ますのが何よりかもしれません。
ただし、毎日新聞の過去記事をデータベースで見てみると「小数点第2位」「小数点以下第2位」のいずれも見られます。単純に数で比べると「小数点第2位」のほうが「小数第2位」よりも多いようです。
大人になると数の位取りも分からなくなってしまうのか――しかし、「小数第1位」では何となく物足りない感じがするというのが大人の感覚かもしれません。どの呼び方でも通じると思いますが、皆さんはどれを選んだでしょうか。
(2024年04月08日)