「帯同」の使い方についての質問でした。
本来は「連れていく」だが「ついていく」と半々
「新人選手、1軍帯同」。この「帯同」の意味は? |
ついて行くこと 45.9% |
連れて行くこと 54.1% |
アンケートの回答から見られる解説では、「帯同」は「○○を連れていく」という他動詞的な使い方が本来で、ほとんどの辞書がこの意味しか載せていない――と書きました。
しかし結果はご覧の通り、「連れて行く」と「ついて行く」がほぼ半々となりました。毎日新聞の記事データベースでも「登山に医師が帯同」「海外遠征に栄養士が帯同」のような、「ついて行く」と理解すべき自動詞的な表現が見つかります。
以前「校閲発 春夏秋冬」でも取り上げたような、他動詞が自動詞的にも用いられるようになる一例かもしれません。
「ついて行く」という意味で「帯同」を使っている場合は「同行」と書き換えることが多いのですが、広辞苑には逆に「部下を同行する」という他動詞的用例も載っており、少し驚きました(語釈としては「連れだって一緒に行くこと」と自動詞的なのですが)。
広辞苑第7版
他の辞書をいくつか引いてみると、学研国語大辞典が「ついて行くこと」「連れていくこと」と自動詞・他動詞両方の意味を載せていましたが、やはり他動詞的意味を載せる辞書は少数派。
「〇〇を同行した」とあると「同行させた」のように直したくなってしまうのですが、皆さんはいかがでしょう。
(2018年02月18日)
「帯同」は「連れていく」の方が本来で、ほとんどの辞書がこの意味しか載せていません。「新人選手が1軍に帯同した」ではなく「1軍に新人選手を帯同した」が適切でしょう。ただし、新しい用法を積極的に取り上げる三省堂国語辞典では2008年の第6版から、①いっしょに連れていくこと②いっしょについていくこと--と両方の意味を載せています。確かに使用実態としては②も多く見られます。
(2018年02月01日)