「教育委員会は『お答えを差し替える』とコメントした」となっていたのを「差し控える」と直しました。この類いのフレーズは新聞などで毎日のように見聞きするのですが、たかが定型句と侮ってはいられません。
「教育委員会は『○○○』と述べた」のような形がときどき出てきます。教育委員会は組織なので「述べた」や「語った」のような言葉はそぐわないという考え方があります。「~とコメントした」「~と回答した」、あるいは「教育委員会の担当者は~」などとするのがオーソドックスでしょう。
そして、最近見かけたのは「『回答を差し控える』との回答があった」。言わんとすることはよく分かるのですが、回答をされなかったのに回答があったとするのは変かもしれません。「~との返答があった」くらいがよかったでしょう。
少し趣の違う例ですが、「『黙秘します』と供述している」というくだりに違和感はありますか? 広辞苑7版によると「供述」は「被疑者・被告人・証人などが自ら知覚・記憶した事実を事実として述べること」。「黙秘」と「供述」はかみ合いません。