読めますか? テーマは〈馬〉です。
寒立馬
答え
かんだちめ
(正解率 87%)青森県の尻屋崎周辺に放牧されている馬。県の天然記念物に指定されている。風雪の中、じっと立って耐えている姿がニュースで取り上げられることが多い。地元の小中学校長が短歌に詠んだ言葉が名称の由来。
(2014年01月06日)
選択肢と回答割合
さむだちうま |
4% |
かんだちめ |
87% |
かんりゅうば |
9% |
白馬の節会
答え
あおうまのせちえ
(正解率 44%)正月7日の宮廷行事。天皇が邪気を払うといわれる白馬を見た後、うたげを催した。中国では青毛の馬だったのを日本で白馬に変更し、読みだけが「あお」のまま残った。現在も大阪・住吉大社などでそれにちなんだ神事がある。
(2014年01月07日)
選択肢と回答割合
あおうまのせちえ |
44% |
しろうまのせちえ |
31% |
びゃくばのせちえ |
25% |
「馬庭」駅
答え
まにわ
(正解率 59%)群馬県にある上信電鉄の駅。昨年と今年のえとにちなみ南蛇井(なんじゃい)駅から馬庭駅への記念切符が発売された。当地に伝わる剣術、馬庭念流は堀部安兵衛や滝沢馬琴も門人だったという。
(2014年01月08日)
選択肢と回答割合
「馬喰町」駅
答え
ばくろちょう
(正解率 83%)東京都にあるJR総武快速線の駅。馬喰(ばくろう)とは牛馬の売買などをした人のことで博労とも書かれる。「伯楽」の音変化という。伯楽とは昔の中国で馬の良否をよく見分けた人のこと。名コーチを「名伯楽」というのはここから来た。
(2014年01月09日)
選択肢と回答割合
ばくいちょう |
8% |
ばくろちょう |
83% |
まぐいちょう |
10% |
「馬路」駅
答え
まじ
(正解率 60%)島根県にあるJR山陰線の駅。鳴り砂の海岸の近くで、映画「天然コケッコー」のロケ地に。一説に、馬が通る道に由来するという。そういえば駅の字は馬がいる宿場を意味するので馬へんだ。なお高知県の馬路村は「うまじむら」と読む。
(2014年01月10日)
選択肢と回答割合
◇結果とテーマの解説
(2014年01月19日)
この週のテーマは「馬」でした。固有名詞やそれに準ずる語、特に駅名が中心になりました。
駅という字が示すように、馬と駅とは切っても切れぬ関係があり、全国には「馬」が付く駅名が少なくありません。だからすべて「馬の付く駅名」にしてもよかったのですが、「白馬の節会」も捨てがたく、不統一を承知の上でこういうラインアップになりました。
「寒立馬」は1970年に生まれたとされる比較的新しい語です。青森県・下北半島にある尻屋小中学校の岩佐勉校長が「東雲に勇みいななく寒立馬 筑紫が原の嵐ものかは」と詠んだことが「寒立馬」の由来だそうです。それが「新日本大歳時記」(1999年、講談社)に採用され、「大辞泉」第2版にも載りました。正解率が今回最も高いことをみても、かなり知られていることがうかがえます。一地方の校長がつくった語が受け入れられ新しい日本語として認知されるというのは、日本語の懐の深さを示す好例といえるでしょう。
「白馬の節会」の「白馬」は「角川俳句大歳時記」によると「はくば」「はくめ」などと傍訓する文献があるそうですから、それらを選択肢に入れるわけにいきませんでした。そのぶん正解が多くなるかなと思っていましたが、今回最も低い数字となりました。やはり「白」を「あお」と読むなんて常識を超えているのでしょう。ただし、今だって色とそれを示す言葉が合致しているとは限りません。緑にしか見えない信号の色を「青」と言ったり、「緑の黒髪」という不思議な語が存在したりしています。
「馬庭駅」は群馬県。この二つの固有名詞に含まれる「馬」はいずれも「ま」と読むように、日本の地名の「馬」のほとんどは「ま」と読むといっても過言ではないと思います。つまり「馬」を「ま」以外で読む例を覚えておけば、それ以外は「ま」ではないかと当て推量できるのではないでしょうか。
「ば」と読む例の一つが「馬喰町駅」。「高田馬場」など「馬場」の付く地名も「ば」であり「ま」とはなりませんね。それから北海道のJR富良野線・美馬牛(びばうし)駅。あとは「馬路駅」の出題時の解説に記した高知県の馬路(うまじ)村。ざっとこれくらいの例外を覚えていれば、それ以外は「ま」と読んで大体間違いないのでは? ところが日本語はそんなに甘くありません。例えば①馬出②馬下③馬流――を読めますか? 「馬」はいずれも「ま」と読むのですが、それにくっついた漢字の方が難読ではないでしょうか。
正解は①まいだし(福岡市東区の地名であり地下鉄の「馬出九大病院前駅」がある)②まおろし(新潟県五泉市の地名でありJR磐越西線の駅名)③まながし(長野県小海町にあるJR小海線の駅名)。結局、漢字の読みに近道などなく、固有名詞は個々に覚えていくしかないということかもしれません。