「真逆」という言葉について伺いました。
目次
8割超は「定着」認める
よく見かける一方で嫌う人も多い、正反対を意味する「真逆(まぎゃく)」。使いますか? |
使う。定着した 49% |
使うが、定着したとは言えない 9% |
使わないが、定着はした 34.2% |
使わない。定着したとは言えない 7.7% |
「真逆」は「定着した」とする人が8割を超え、これはもはや日常語として浸透したと考える方がよさそうです。国語辞典でも俗用とするのをやめるものが出てきています。
「俗語」から「新語」へ
前回質問した際には、広辞苑7版(2018年)が「真逆」について「まぎゃく【真逆】全くの逆。正反対。『―のことを言う』」と、「俗語」などと注記することなく記載したことを、多少驚きつつ紹介しました。
その後、他の辞書では三省堂国語辞典が8版(2022年)で、7版(2014年)まではあった俗語の表示を外しました。また明鏡国語辞典は3版(2021年)で、2版(2010年)で俗語としていた表示を「新語」の表示に改めました。明鏡の扱いの変化はちょっと独特なのですが、「卑俗な語」としている俗語表示から切り離したということは、新しい語ではあっても品がないものではないと認めているようです。
三省堂現代新国語辞典6版(2019年)は独自に「ややくだけた言い方」と注記しており、それぐらいの説明が出題者にはしっくりくるようです。改まった場面では使いにくいとしても、「俗語」というほど行儀が悪いわけでもない、というほどの位置づけがちょうどよいと感じます。
文章語としても使えるか
回答から見られる解説ではミュージカルのセリフを引きましたが(ちなみに宝塚歌劇版「アナスタシア」です)、もはや「真逆」は口頭語としては違和感なく使われているのが実情でしょう。毎日新聞用語集は「引用や話し言葉を特に生かす場合以外は『正反対』『全く逆』などのように言い換える」と案内しており、文章語としてはまだこなれていないとの考え方を示しています。しかし、この調子だと、文章においても許容されるようになるのは時間の問題かもしれません。
(2023年08月10日)
2018年10月のアンケートの再質問です。先ごろ、海外ミュージカルの翻訳上演をテレビ放送で見ていると、こんなやりとりがありました。「(その女は)ドラゴンみたいに怖そうだな」「真逆さ。彼女は美しく官能的で……」。話の内容はおくとして、演劇で「真逆」を使用しても差し支えない、聞き取りやすく、パッと理解できるものと認識しているであろう脚本・演出の判断が目を引きました。▲かくも「真逆」は浸透が進んでいるのだなあ、と思いましたが、前回のアンケートの時点でも浸透具合はけっこうなものでした。前回の数字は▽使う。定着した44.4%▽使うが、定着したとは言えない11.3%▽使わないが、定着はした33.1%▽使わない。定着したとは言えない11.1%――使うか否かは別として、8割近くが「定着した」と判断しています。▲2019年改訂の毎日新聞用語集では、「真逆」は俗語として、特に地の文では使わないように案内していますが、使用例は増えており、抑制する必要性も薄れてきているかもしれません。皆さんは現状ではどう感じるでしょうか。
(2023年07月27日)