「身につける」という語句の表記について伺いました。
知識を身に「つける」と書く人が3分の2近く
知識をものにすること。どう書きますか? |
知識を身に付ける 26.5% |
知識を身に着ける 9.3% |
知識を身につける 64.2% |
平仮名で「つける」と書く人が3分の2に迫る数となりました。「迷ったら平仮名に」という選択もありでは――と回答からの解説で書きましたが、考えていた以上に平仮名書きの人が多い結果でした。
解説では文化審議会国語分科会の報告「『異字同訓』の漢字の用法」(2014年)を紹介しました。「つける」について「衣服を身に着ける」「知識を身に付(着)ける」という用例を挙げつつ、注釈では「『知識を身につける』の『つける』は、『付着する』意で『付』を当てるが、『知識』を『着る』という比喩的な視点から捉えて、『着』を当てることもできる」としたものです。
文化庁のウェブサイトで見られる議事録をのぞくと、いったんは「知識を身に付ける」「衣服を身に着ける」と書き分けることで決着していたことが分かります。
それに対し、一人の委員から改めて「知識を身に着ける」もあるのではないかと問題提起され、結果として「知識を身に付(着)ける」という形に落ち着いたようです。一方で、他の委員からは「衣服の場合は『つける』という他動詞だけで、『衣服が着く』とは言えませんから、かなり違いがある」という意見も出ています。
確かに「知識を身に付ける」に対して「知識が身に付く」とはいいますが、「衣服を身に着ける」に対して「衣服が身に着く」とは言いにくい。使い分けにしても両論併記にしても、簡単な話ではないようです。
そんな大変さを素通りしてしまえるのが平仮名という選択。国の審議会でもかくも迷うということなら、平仮名書きというのは合理的な選択肢と言えるでしょう。
日本新聞協会としては、「知識を身に付ける」「衣服を身に着ける」という使い分けを推奨する方針のようです。
(2018年04月13日)
衣服などの場合は「身に着ける」を使う人が多いのでは。「着用」するのですから「着ける」でよいと思えます。しかし、知識や技能の場合はどうでしょう。
「付」と「着」のように、別の字なのに訓読みが同じ文字は「異字同訓」の関係にあります。このような文字の使い分けについて、国の審議会から目安が示されています。
最近では文化審議会国語分科会の報告「『異字同訓』の漢字の使い分け例」(2014年)。ここでは「つける」について「衣服を身に着ける」「知識を身に付(着)ける」という用例が挙がっています。
注釈では「『知識を身につける』の『つける』は、『付着する』意で『付』を当てるが、『知識』を『着る』という比喩的な視点から捉えて、『着』を当てることもできる」としており、基本的には「付」だが「着」も使える、とのことです。
皆さんはどちらを選んだでしょうか。もちろん「迷ったら平仮名に」という選択肢も十分考えられます。
(2018年03月26日)