「女優」という呼び方に関して伺いました。
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「男女平等でない」が最多だが
男性俳優は普通「俳優」なのに、女性俳優を「女優」というのは…… |
男女平等でないと感じる 46.1% |
問題ないと思う 41% |
積極的に「女優」を使いたい 13% |
「女優」という呼び方が使われることについて、最も多かった回答は「男女平等でないと感じる」でしたが、半数には届かず。「問題ないと思う」との差も大きくはなく、「問題ない」「使いたい」の合計が過半数を占めています。男性の俳優と呼び方が違うことに違和感があるとしても、「女優」は決してマイナスイメージのある言葉ではないだけに、使い方については今後も検討を続けていく必要がありそうです。
問題を感じる人が増えた?
2018年の時点では「問題ないと感じる」との回答が最多でした。もっとも、当時もそれほど大きな差があったわけではありません。ちょうど今回の結果を逆にしたぐらいです。「積極的に使いたい」とした人の割合はさほど変化がありません。
単純に比べるなら、5年前よりも「男女平等でないと感じる」とした人が増えて、ジェンダー意識の高まりを反映していると言えなくもないのかもしれませんが(歯切れが悪くて申し訳ありません)、この程度の変化ではなんとも言えない、というのが正確でしょう。また5年ほどしてアンケートを取ることができればと思います。
「男優」「女優」の消えた映画祭も
前回のアンケートの後、2021年から、ベルリン国際映画祭では「男優賞」「女優賞」の区別がなくなり、「俳優賞」に一本化されました。俳優の側からは「賞をもらうチャンスが半分になってしまった」と受け取られそうにも感じましたが、性の多様性を考えると「男優」「女優」という二分法がうまく機能しなくなってきたのかもしれません。
もちろん、だからといって「女優」という言葉が排除されるべきものだとは出題者は考えません。共同通信のルールでも、「往年の大女優」のような言い方はあり得るとされていました。「女優」という言葉の持つ独特なニュアンスについては、もう少し考える必要があるのではないかと感じます。
(2023年07月13日)
2018年に伺った問いの再質問です。前回の時点と比べても、ジェンダーに関する議論の高まりを感じます。とはいえ、前回も書いた通り、本人の希望などもあって統一は難しく、2019年の毎日新聞用語集の改訂でも、ルールは特に定めませんでした。▲ちなみに共同通信の用語集「記者ハンドブック」は「ジェンダー平等への配慮」という欄で、「女優」は「俳優」にするように促しています。ただし「『女優』表記を強く求めている、『往年の大女優』など言い換えが難しい場合は『女優』『大女優』などを使うことも」と注記しており、「女優」を完全に排除するというわけではありません。▲前回の結果は、「問題ないと思う」が最多で47.8%、「男女平等でないと感じる」が40.6%、「積極的に『女優』を使いたい」11.7%――というものでした。今度は「問題ない」は減るかもと思いますが、どうなるでしょうか。
(2023年06月26日)