洋数字での「およその数」の書き方について伺いました。
「四、五百人」洋数字なら「400~500人」が4分の3
幅のある数字の書き方。「四、五百人」を洋数字で書くとしたらどう書きますか? |
4、500人 5.8% |
400、500人 1.3% |
4~500人 16.6% |
400~500人 76.3% |
「400~500人」が4分の3を占め、大方の支持を得たと思います。
区切りに読点(、)を使う方式が支持を得られなかったのは、パソコンやモバイル端末での表示が横書きであることも大きな理由になっていると考えます。位取りのカンマ(,)と見た目が紛らわしいですから。「4、500」は「4,500」(四千五百)のようにも見えますし、「400、500」は「400,500」(四十万五百)と取られる可能性もないとは言えません。
ただし、支持を集めた「400~500人」も、「四、五百人」とは意味が若干ずれるように感じられます。校閲グループのツイッターに「『400〜500人』は、『400人以上500人以下』と読め、500台(例えば512)が入らないように感じる」というコメントをいただきました。確かに「四、五百人」なら普通は「だいたい四百人か五百人ぐらい」と受け止めるところですが、「400~500人」となると、400と500の幅からはみ出してはいけないように感じます。
毎日新聞以外の新聞社・通信社の用語集でも、こうした概数の扱いは漢数字を原則とする一方、洋数字で書く場合に関しては苦心している様子がうかがえます。ある新聞の用語集には「二、三十年前」という基本的な用例に付け加えて「はっきりした範囲が示せる場合は『20~30年前』のように書いてもよい」としています。表記による受け取られ方の違いに配慮した記述でしょう。また別の新聞では「三、四百人」を前提としつつ「『300、400人』とはしてもよい」といいます。「300~400人」よりも「三、四百人」に近い、という考え方でしょうか。ただ先にも触れたように、特に横書きではこの書き方は推奨しにくいものです。また別の新聞では「四、五十年」を例に挙げる一方で「2、3百円」という使い方も載せています。これなら意味上の問題はクリアできそうですが、通常は「四、五十」や「200」と書くところに「2、3百」を混在させるというのは、表記の統一性という点では疑問符が付きます。
結局、これといった妙案はないのかもしれません。ただ、今回のアンケートの結果としては、「四、五百人」に相当する洋数字表記は「400~500人」とするのが受け手にとっては一番違和感がない、ということになりそうです。数のニュアンスについて気になる場合は「およそ400~500人」とするなど、書き方への配慮で対応すべきでしょう。
(2018年07月03日)
毎日新聞では原則として、記事中の数字は洋数字(アラビア数字)を用いていますが、漢数字が一掃されたわけではありません。「三度目の正直」のような慣用句など、漢数字を使うことが定着している表現については今でも漢数字を使います。
加えて、概数、およその数というのも漢数字の得意な分野です。「十余人」は「10人余」と書き換えることができますが、「十数人」を「10数人」とするのはやや無理があります。400人か500人ぐらい、という「四、五百人」も洋数字で表すにはどうしたらよいか。
毎日新聞用語集では。こうした場合にも漢数字を使うことを勧めていますが、最近は電子機器による横書きが普及したこともあって、数字の表記は漢数字よりも洋数字が一般的になっています。漢数字を使うと違和感がある、という場合もあるかと思います。
とりあえず考えられる書き換え例を挙げてみましたが、皆さんはどの形を選ばれたでしょうか。
(2018年06月14日)