2018年2月7日、「LINE NEWS」の校閲部の方々が見学にいらっしゃいました。
新設されたばかりということで、毎日新聞の校閲の仕事について説明させていただきました。
その際に出た質問とお答えをQ&A形式でお伝えします。まずは、仕事の流れから……。
▽初校:
各面に担当者(面担)がつきます。記事はA4判の紙に印刷されてくるのですが、紙面のように組まれているのではなく作文用紙のように整然と文字が並んでいます。面担はその記事を読んで初校の直しを入れます。
このとき「校正※」と呼ばれる誤字・脱字の直しや毎日新聞用語集に沿った直しをするほかに、固有名詞や事実関係に至るまで調べられるものはすべて調べています。
これがいわゆる「校閲」と呼ばれる作業で、実はことばの直しよりもこの作業が仕事の8~9割を占めています。
(※本来の「校正」は、原稿と印刷ゲラを引きくらべて違っている部分を直す作業ですが、現在の新聞では投書や小説など一部を除き、元の原稿というものはありません。ゲラだけを読んで直しを入れる作業は、一般には「素読み校正」と呼ばれます)
▽再校:
また、記事はダブルチェックを基本としていて、面担の他にデスク・キャップと呼ばれる再校役がいます。再校を通ると晴れて「校了」ができ、整理記者が紙面の形に組めるようになります。
▽問い合わせ:
校閲をしていて疑問がある時は必ず出稿部に確認しに行きます。信頼のおける資料を提示するのですが、資料が複数あると迅速に直ることが多いです。
▽引き合わせ:
最後に紙面の形で組まれてきたA2判の紙で見出しや写真をチェックし、A4判の記事と引き合わせます。新聞は載せられる字数が決まっているので、長い記事では重要なところを抜き出して編集することがあります。
引き合わせをすることで、おかしな形で文章が削られていないかをチェックしています。あとは時間の限り何度も調べて、読んでを繰り返します。
まず、毎日新聞用語集が文字直しの基本です。表紙が赤いので「赤本」と呼んでいます。さらに自社データベース(過去記事検索)やインターネット、紙媒体では各種辞書・事典、世界年鑑、国会便覧、日本行政区画便覧、各都道府県の詳細な地図などが挙げられます。
これらは部で保有しているもののほか、各自好みの辞書や地図を持参しています。
これが最大と言うのは難しいです。訂正が出るたびに身を縮めています。
最近では、今年の余録(1面下のコラム)で左下に載る日付が2017年になってしまったものがありました……。その日の面担は「今年1年持ち歩く」と翌日の「おわび」を切り取っていました。
「訂正を出さない」「正しい日本語を伝える」です。訂正はもちろん出してはいけないのですが、正しい日本語を残していくことも念頭に置いています。新聞は縮刷版やデータとなって後世まで残っていくためです。
心配性、うたぐり深い、集中力がある、度胸がある、同時並行的にアンテナを張れる、自分が誤りを見逃したら悔しいと思える……挙げだしたらきりがないですが、すべてを兼ね備えている人はいないと思います。楽しいと思えることが重要じゃないでしょうか。