前回に続き、「LINE NEWS」の方々に毎日新聞の校閲部について説明させていただくのに際し、何人かの部員にとった仕事のやり方などについてアンケートを紹介します。
【まとめ・斎藤美紅】
目次
これまでに難しいと感じたジャンルは?
◆経済関係。入社するまで「反発」「反落」などの言葉の意味も知らなかった。
また「円高・ドル安の基調に転じるとの見方は少ない」とあるはずの原稿が「円高・ドル安の基調が転じるとの見方は少ない」になっていて訂正が出たこともあり、てにをは一つで意味が反対になってしまう怖さを感じている。
(入社11年目Y)
◆自分が詳しくない分野だと読んでもなかなか頭に入ってこず、調べ物も時間がかかるので難しい。経済もの、ルールを知らないスポーツもの、文化面の専門的な記事(歌舞伎、文学など)。
ただ逆に自分が詳しい分野だと時間は短縮できるが、思い込みで読み飛ばして見逃すという意外な落とし穴があり、これもまた難しい。
(入社6年目K)
◆身近でないスポーツや、経済の話など。知らない用語がどんどん出てくるので、全体の理解に時間がかかる。
(入社6年目M)
校閲的な物の見方を身につけるためにしていることは?
◆家族と普段話す時にも、この言い方でいいかと常に考えている。すぐに辞書を引く。
(Y)
◆できるだけ一文字一文字丁寧に読むように気をつけている。焦って読み飛ばすとどうしても見逃しが多くなる。
普段の生活でも(メールを含めて)文章を書くときはできるだけ赤本(毎日新聞用語集)の表記や正しい日本語を気にする。そちらの方が「ルール」を身につけられるので。
(K)
◆プライベートではまったくだが、紙面を読む時はすべて疑う。「へえそうなんだ」と思って読み飛ばしたところが間違っていたということはよくある……。
(M)
どのように知識を深めているか
◆新聞を読むようにしている。新聞に書かれることは、新聞に書いてあるので。
また、言葉遣いなどに関しては複数の辞書にあたるようにしている。思いがけない事例を採用している辞書が見つかることもある。
(Y)
◆「新聞を日々読んで勉強」と言いたいところですが、普段はあまり新聞を読んでいません……。
日々記事に触れることで昔よりは世の中の情勢についていけるようになったがまだまだ。知識がないのでその分調べは手を抜かないようにしている。
(K)
◆興味をもったらすぐに勉強・調べる。覚えるのが目的というより、触れておくことでいろいろなキーワードがひっかかりやすくなると思うから。
野球の試合を見に行くなど、実際に体験してみることも。最近は三笠宮杯(社交ダンス)の特集記事を校閲して、大会を見に行きたくなっています。
(M)
なぜ校閲の仕事をしたいと思ったか
◆日本語が好きだから。
(Y)
◆小さい頃から間違いが気になるひねくれた子どもだった。大学時代に塾のアルバイトをしていた時もみんなが嫌がる採点業務が楽しく、赤を入れる作業が好きなんだと気づいた。
創造性がなく、0から1を生み出すことは苦手だが、1を10にする縁の下の力持ち的な仕事が向いていると思った。
(K)
◆校閲を知ったのは就活の時。元々取材記者をめざしていたが、向いてないなと悩んでいたときに校閲を知り、よりよい紙面を作るサポートができる点に魅力を感じた。
自分自身、これまでの経験から前に出るよりサポートのほうが向いていると感じていたので、自分に合っているのではと思い志望した。
(M)