「切りつける」という動詞につながる助詞について伺いました。
「切りつける」の前は「…に」か「…を」か半々
刃物による切りつけ事件。加害者側からはどう書きますか? |
○○に切りつける 44.9% |
○○を切りつける 55.1% |
「を」がやや優勢ですが、半々に近い結果になりました。「切りつける」の使い方には悩まされていますが、なおのこと悩みが深まりそうです。
「他動詞+つける」の形を取る言葉には、例えば「踏みつける」「𠮟りつける」のようなものがあります。これらはいずれも「踏む」などと同様「○○を~」という形を取りますから、「切りつける」も「切る」と同様に「○○を」でよい、という議論も成り立つかもしれません。
ただ、「踏みつける」などの場合は「つける」によって動作の程度が強調されているのに対し、「切りつける」の場合は「切る」動作が強まるだけでなく、「その行為が、ある対象に向けられる意を表す」(大辞泉2版)という意味が加わります。
いくつかの辞書の説明では「切りかかる」という言い換えを挙げていますが、こちらは「○○に切りかかる」で問題なく使える言葉です。であれば、やはり「○○に切りつける」の方がよいでしょうか。何ともいえない結果になりました。
(2018年03月16日)
「切りつける」は使い方に悩まされる言葉です。
「切る」ならば「○○を切る」ではっきりしているのですが、「つける」という補助動詞が合わさると「刃物で切ろうと襲いかかる」(大辞林3版)との意味になり、動作に方向性が加わります。とすれば「に」がふさわしいでしょうか。
しかし、例えば「背中に切りつけた」と「背中を切りつけた」では意味が違う、という指摘も出るかもしれません。
前者では実際に切ったかどうかは関係なく切りつけるという動作が起これば成立するけれど、後者は実際に切ってからでないと成立しない、と言われるかも。どうでしょうか。
(2018年02月26日)