読めますか? テーマは〈風〉です。
靡く
答え
なびく
(正解率 53%)風などによって草などが横に傾くこと。また、従うこと。「風に靡く草」は、人民が権力者の言うがままになる、または小人が有徳者に服するたとえ。音読みは「一世を風靡する」で知られる「ビ」。この字には「消費する」意味もある。
(2014年11月17日)
選択肢と回答割合
楓
答え
ふう
(正解率 42%)一般的には「かえで」と読む。しかしマンサク科のフウはカエデ科のカエデとは別種で、フウも紅葉することから古人の誤解が定着した。一説に、枝が弱く風で揺らぐことからの名という。皇居・吹上御所には江戸時代からのフウの巨木がある。
(2014年11月18日)
選択肢と回答割合
風馬牛
答え
ふうばぎゅう
(正解率 60%)自分には関係ないという態度を取ること。牛と馬が求め合っても結ばれることはないという中国の「春秋左氏伝」の故事から。この「風」はさかりがつくこと。ある辞書に「政治には風馬牛だ」という用例があるが、選挙でその態度は感心しない。
(2014年11月19日)
選択肢と回答割合
かぜばぎゅう |
1% |
ふうばぎゅう |
60% |
ふうまぎゅう |
39% |
颪
答え
おろし
(正解率 80%)山から吹く強風。六甲颪など主に地名に付ける。颪は日本でつくられた漢字で「国字」という。なお群馬県の空っ風は赤城颪とも呼ばれるが、同県選出の小渕優子さんの閣僚辞任は解散風を吹かせる一因となった。
(2014年11月20日)
選択肢と回答割合
凩
答え
こがらし
(正解率 76%)秋の末から冬の初めにかけて吹く冷たい北風。凩は国字(日本製の漢字)。普通「木枯らし」と書く。ちなみに「凪(なぎ)」「凧(たこ)」も国字だ。
(2014年11月21日)
選択肢と回答割合
◇結果とテーマの解説
(2014年11月30日)
この週は「風」。以前にも何度かやりましたが、永田町から突然巻き起こった解散風にあおられ、またこのテーマになりました。
今回最も正解率の高かったのは「颪」。やはりというべきか、ツイッターで「六甲おろし」という反応が寄せられていることからも、阪神タイガースの応援歌と関連付けられることがうかがえます。しかし日本シリーズでは負けてしまったので、出題時の解説ではそちらをメインにするのはやめ、赤城おろしと解散風とを結びつけました。ちなみにタイガースの歌を「六甲おろし」というのは通称で、正式には「阪神タイガースの歌」というそうですね。そのまんまやね。
颪は日本で作られた漢字「国字」ということで、同じ国字である「凩」も出題しました。「おろし」もそうですが「こがらし」も「木枯らし」と書けば済むのにこういう漢字を創作してしまうのが日本人の感受性。「凪」「凧」も国字です。
ところでこれらの字を漢和辞典で探すとすると部首は何でしょう。円満字二郎さんの
「部首ときあかし辞典」(研究社)によると、昔ながらの漢和辞典では「机」の右の「几」部に属するとされますが、最近では凩、凪、凧、凰を「かぜがまえ」に属するとして区別するようになってきているといいます。颪はそれらと違い「風(かぜ)」という部首の字の一つです。
「靡く」は誤答の多かった「たなびく」と混同されやすい語です。普通、草や髪は「なびく」、煙や雲は「たなびく」という使い分けはできていると思いますが、旗の場合がよく「たなびく」に風のように揺れてしまいます。旗はやはり「なびく」ものでしょう。
「風馬牛」も「馬耳東風」と混同されやすいとして一部で取り上げられます。前者は「互いに無関係なこと」、後者は「馬の耳に念仏」と同じ意味で「人の意見を全く気に掛けないこと」。しかし毎日新聞では、この言葉そのものがほとんど使われていないため、誤用として問題になった記憶もありません。
今回最も正解率が低くなったのは「楓」。「かえで」と読むのにその選択肢がなく、フウという音読みがそのまま植物名になることも知られていないせいと思われます。いま日本でカエデというと本来の漢字は「槭」。藤堂明保
「漢字の話」(朝日選書)にはこうあります。「楓(ふう)は葉が三つに分かれており、槭(せき)というのは、手のひら型の葉をしていて、もともと同じではないのだが、どちらも秋にはみごとな紅葉となるので、古くから混同されることが多かった。日本では『楓』という字で両者をかね表し、かえで(蛙手から来たという)と訳した」「かえでの葉は、秋風にゆられてひらひらと動き、あふられて風に舞って飛んでいく。それはまのあたりに風の振動を表している。そこで『木+風』を合わせて楓(フウ)と書き表した」=写真はフウ。
蛇足ですが、風には「病気」の意味もあります。この時期、風邪などにくれぐれもお気をつけください。