読めますか? テーマは〈幕末明治の人名〉です。
目次
前島密
まえじまひそか
(正解率 93%)幕臣から明治政府の要人となり。近代郵便制度を創設した。「切手」「郵便」の語を定めたのもこの人。漢字廃止を徳川慶喜に建議したことでも知られる。普通切手のデザインは先日刷新されたが、1円切手の前島密の肖像だけは変わらなかった。
(2015年02月23日)
選択肢と回答割合
まえじまひそか | 93% |
まえじまみそか | 4% |
まえじまみち | 3% |
三条実美
さんじょうさねとみ
(正解率 51%)幕末・明治期に政治家として活躍した公家。尊皇攘夷(じょうい)派の中心だったが失脚、王政復古後に復権した。黒田清隆内閣総辞職後、一時臨時首相を兼任した。
(2015年02月24日)
選択肢と回答割合
さんじょうさねとみ | 51% |
さんじょうさねよし | 45% |
さんじょうまさみ | 4% |
岩倉具視
いわくらともみ
(正解率 94%)公家の立場で倒幕に尽力。明治初めには米国、欧州への使節団の正使を務めた。先日5万号を数えた毎日新聞の前身、東京日日新聞の創刊号には岩倉使節団の記事がある。500円札に肖像が使われた。安倍晋三首相の施政方針演説にもその名が出てきた。
(2015年02月25日)
選択肢と回答割合
いわくらかねみ | 1% |
いわくらともみ | 94% |
いわくらよしみ | 5% |
木戸孝允
きどたかよし
(正解率 77%)西郷隆盛、大久保利通と並び維新の三傑の一人といわれる。旧姓名は桂小五郎。長州藩出身で吉田松陰に学び、岩倉使節団にも加わった。孝允は「こういん」と音読みされることも多い。
(2015年02月26日)
選択肢と回答割合
きどこうべん | 2% |
きどたかみつ | 21% |
きどたかよし | 77% |
楫取素彦
かとりもとひこ
(正解率 55%)明治の群馬県令(知事)。旧姓名は小田村伊之助。吉田松陰と親しく、大河ドラマ「花燃ゆ」では主役級だ。楫(かじ)は船を進める道具。改名は小田村家の祖先が水軍だったからとも、国のかじ取り役との含みからともいう。
(2015年02月27日)
選択肢と回答割合
いとりもとひこ | 39% |
かとりもとひこ | 55% |
とうどりもとひこ | 6% |
◇結果とテーマの解説
(2015年03月08日)
この週は「幕末明治の人名」でした。
歴史上の人物をテーマにするのは、これまでなるべく避けるようにしていました。というのは、正解がはっきり出せない、もしくは正解が複数あるというケースが予想されるためです。
中国文学者、高島俊男さんは「慶喜(けいき)と慶喜(よしのぶ)」という、最後の将軍・徳川慶喜に関する文をはじめ、日本人の名前の読みはいかに柔軟で不明確かを、豊富な例を基に述べています(「お言葉ですが…⑦」文芸春秋)。比較的最近の人では、菊池寛(ひろし)、松本清張(きよはる)、安部公房(きみふさ)。有名になると、ほんとうの名前ではなく音読みされるようになり、作家としては「かん」「せいちょう」「こうぼう」となったそうです。「一種のペンネーム、あるいは『著名人ネーム』」といいます(同所収「ヒロシとは俺のことかと菊池寛」)。
木戸孝允 |
その中で、普段音読みされる政治家の例に挙げられるのが「木戸孝允(こういん)」です。たしかに、教科書では「たかよし」と教わったはずだけど、「こういん」と覚えている人は多いのではないでしょうか(出題者もそうです)。しかし今、パソコンで「きどこういん」と入力すると「木戸工員」と変換してしまいます。「きどたかよし」では一発変換OK。デジタル時代には、一般に流布されている通称名は排除され、教科書通りの入力しか認めないのだとしたら、なんとなく息苦しさを感じます。
前島密 |
それでも3択漢字クイズにしてしまうからには、「通称」は排除し、かつ、なるべく「正解」から離れた誤答を設定しなければなりません。正解に「ニアミス」する選択肢だと、「実はそうも言った」という思わぬ展開にもなりかねませんから。
楫取素彦 |
例えば「前島密」だと「まえじまみつ」、「楫取素彦」だと「かじとりもとひこ」を選択肢に出した方が、多少は正解率が下がったかもしれません。ですから、正解率が高くても真の理解度を示すわけではありません。むしろ、著名と思われる「前島密」「岩倉具視」でさえ95%に達しない数字であることに、驚くべきかもしれません。
岩倉具視 |
最も正解が少なかったのは「三条実美」。これも「さねみ」を誤りの選択肢に入れるともっと下がったと思われます。「さねみ」とも言ったという記録を見いだしたわけではなく、単にその可能性を恐れて外したのです。このように慎重を期したつもりですが、万一「正解が二つある」ということにお気づきであればご一報ください。
三条実美 |