新しいものが好きな人のことをどう言うか伺いました。
目次
「新しいもの好き」も使う人は4割超
「新しいものが好きな人」のことをなんと言いますか? |
新しもの好き 56.7% |
新しいもの好き 28.4% |
上のいずれも言う 14.8% |
「新しいもの、新奇なものを好むこと。また、その人」を意味する語として、国語辞典は「新しもの好き」を載せています。今回のアンケートでは、この形のみを使うとした人が過半数を占めました。一方で「い」の入った「新しいもの好き」を選んだ人が3割弱、「いずれも言う」を含めると4割を超え、この言い方もある程度浸透していることがうかがえます。
「新しもの」に「い」がないのは…
「新しい」という形容詞は、古語で「もったいない」を意味する「あたらし(可惜し)」から派生したものではないかと言われます。「新しいものは惜しく思うものであるところから転義を生じた」(日本国語大辞典2版)といい、枕草子にも「削り氷(ひ)にあまづら入れて、あたらしき金鋺(かなまり)に入れたる」(四二・あてなるもの)という用例があります。
「新しいもの」を意味する言い方は、形容詞の活用からすれば、文語では「新しきもの」となるはず。しかし、形容詞の活用しない部分に他の語が付いて造語されることは珍しくありませんでした。「いとしい(いとしき)子」が「いとし子」となるようなもので、「新しもの」という形も不自然なものではないでしょう。
似た語の少ない「新しもの」
ただし、古文のいわゆる「シク活用」の形容詞の複合語で、「新しもの」のように「い」の入らない形が使われ続けている言葉は、あまり多くない印象を持ちます。「シク活用」の形容詞とは、かなし▽うつくし▽さびし▽うれし――など、「うれしくなる」のように活用しても語尾の「し」は消えないものを言います(「ク活用」の場合には「くらし/くらくなる」のように「し」が消えます)。
似たような言葉がなければ、「新しもの」も語としての一体性が感じられなくなり、普通の「新しいもの」「新しいもの好き」という言い方がなじむと考えられるようになるのも、また自然なことと言えます。今回のアンケートで「い」の入った形がある程度の支持を得たのも、納得のできる話です。
「新しい/もの好き」?
とはいえ、回答から見られる解説でも書きましたが、「新しいもの好き」という書き方はどうも「新しい/もの好き」に見えてしまします。「もの」を漢字にして「新しい物好き」とするとなおさらです。「新しもの好き」という言い方が使われるのは、こうした見た目上の問題が起こりにくいから、ということもあるのかもしれません。
(2022年05月12日)
「新しいもの、新奇なものを好むこと、また、その人」(大辞林4版)のこととして辞書に掲載されている語は「新しもの好き」または「新し好き」です。意味としては「新しいもの(が)好き」なのですが、「い」は消えて「新しもの好き」となります。▲日本国語大辞典を見ると、「あたらし車」「あたらし船」「あたらし屋」(それぞれ、新しく作った車・船・家)といった言葉が載っています。古語では「新しい」という意味の形容詞はもっぱら「あらたし」が用いられていましたが、「あたらし」が「新しい」の意味で使われる例もあり、「新しもの」もその流れをくんだ語なのでしょう。▲しかし、これが最近「新しいもの好き」と書かれているのを見て、なんとも言えない気持ちになりました。これは出題者には「新しい『もの好き』」に見えるのですが……。とはいえ口語ならばここも「新しい」になるのが自然なのかもしれません。皆さんはどちらの形を使うでしょうか。
(2022年04月25日)