読めますか? テーマは〈梅雨〉です。
目次
潰える
ついえる
(正解率 92%)形が崩れること。また、駄目になること。「つゆ」の語源説の一つに「潰える」の古語「ついゆ」からきたとするものがある。梅雨の時期は食べ物などが腐ったりカビが生えたりしやすいからだ。他に「露」からとするなど、さまざまな説がある。
(2015年06月08日)
選択肢と回答割合
きえる | 2% |
ついえる | 92% |
つかえる | 7% |
麦雨
ばくう
(正解率 80%)麦の実る頃に降る雨。「五月雨」つまり梅雨時の雨のこともいうが、麦の穂には雨は大敵だ。なお麦の収穫の時期を意味する「麦秋」は夏の季語。
(2015年06月09日)
選択肢と回答割合
ばいう | 9% |
ばくう | 80% |
むぎさめ | 11% |
茅花流し
つばなながし
(正解率 28%)チガヤ(茅)の穂に吹く南風。またそれに伴い降る雨。「流し」は梅雨の前後に吹く湿った南風を表すが、梅雨そのものを指す所も九州などにあるという。
(2015年06月10日)
選択肢と回答割合
かやばなながし | 44% |
ちかながし | 27% |
つばなながし | 28% |
栗花落
ついり
(正解率 33%)「墜栗花」とも書く。梅雨入りのこと。その頃にクリの花が落ちることからという。本日は暦の雑節(ざっせつ)の一つ「入梅(にゅうばい)」だが、入梅の字で「ついり」と読むこともある。なお「栗花落」で「つゆり」などと読ませる姓が実在する。
(2015年06月11日)
選択肢と回答割合
くりから | 45% |
ついり | 33% |
りっからく | 21% |
黄梅の雨
こうばいのあめ
(正解率 46%)梅雨の別称。梅の実が黄色に熟する頃に降る雨のこと。「梅雨」の字の由来は一説に、梅の熟する頃の雨からという。ちなみに「黄梅」は「おうばい」と読むと別語。早春に咲く花の一種で、名に梅と付くがモクセイ科だ。ウメはバラ科。
(2015年06月12日)
選択肢と回答割合
おうばいのあめ | 44% |
きうめのあめ | 10% |
こうばいのあめ | 46% |
◇結果とテーマの解説
(2015年06月21日)
この週は「梅雨」の類語など。主に講談社学術文庫「雨のことば辞典」(倉嶋厚・原田稔編著)を参照しました。
まず「梅雨(ばいう)」の項から引くと
梅雨ということばは日本には平安時代に伝わったが、そのころ日本では「五月雨(さみだれ、さつきあめ)」と呼ぶのが主流であった。室町時代の本に「梅の雨」という語が見え、江戸時代には「梅雨」が使われるようになった。一方、「つゆ」の語源には、「露」の連想だとか、黴(かび)のためものが「ツイユ(潰ゆ=そこなわれる)」などの諸説がある。
ということで「潰える」を出題したところ、最も正解率が高くなりました。「潰」は2010年に常用漢字になったのですが、読みは「カイ」「つぶ(す)」「つぶ(れる)」のみ。だから新聞ではいまだに「夢はついえた」などと仮名書きにしています。
「麦」といえば前のNHK連続テレビ小説「マッサン」のオープニング映像が、中島みゆきさんの「麦の唄」とともによみがえってきます。しかし、麦秋が秋ではなく初夏の言葉ということは知っていましたが、梅雨の類語として「麦雨」の語があることも、麦の穂に雨は大敵なんてことも知りませんでした。日本で小麦の生産が最も多いのは北海道だそうですが、梅雨がないことも栽培に適した条件の一つなのですね。
梅雨の類語には植物と関わりが深いものが多いようです。「栗花落」はその字の通りクリの花の落ちるころ梅雨入りすることから。兵庫県には奈良時代からの伝説にちなむ「栗花落(つゆ)の井」という史跡があります。また同県には栗花落の字で「ついり」「つゆり」と読む姓が多いとのことです。ちなみに「入梅」は普通「にゅうばい」と読みますが「ついり」と読む場合もあります。また「入梅(にゅうばい)」は梅雨入りとは限らず「(東日本で)つゆ。梅雨(バイウ)期」(三省堂国語辞典)という意味もあるそうで、「入梅」と書いて「つゆ」という仮名を振った例も見いだせます。
「黄梅の雨」はまさに「梅雨」の字に関わります。しかしこの語の難しさは「黄」が「こう」か「おう」か迷うところ。漢和辞典をみるとほとんどの熟語が「こう」なので、黄土色、黄金、黄綬褒章など少数の例外を除いて「こう」と覚えておけばよいかもしれません。
今回最も難しかったのが「茅花流し」。「茅」は神奈川県の「茅ケ崎」の「ち」、東京都の「茅場町」の「かや」など、地名でおなじみの字だと思いますが、「つばな」はなじみがなかったようです。ツバナはチガヤの銀白色の花穂をいいます。しかしチガヤといってもわかる人は限られるかもしれません。出題者も東京都内に住んでいた頃はあまり目にした記憶がありません。しかし千葉県に引っ越してあちこちで目にし、あのススキみたいな美しい穂は何の植物だろうかと思って調べ、ようやく文字だけは知っていたチガヤ(茅)だとわかった次第です。なお千葉の名の由来は諸説ありますが、その一つにチガヤが多いことからというものがあります。個人的に納得しました。