「姉と弟」をどのように表すか伺いました。
目次
「姉弟(きょうだい)」が半数占める
上の子は女の子、下の子は男の子。まとめてどう表しますか? |
兄弟 7% |
きょうだい 21.1% |
姉弟と書いて「きょうだい」と読む 51.9% |
姉弟と書くが「きょうだい」とは読まない 20.1% |
「姉弟(きょうだい)」が最も多く、半数を占めました。読みを問わなければ「姉弟」派が7割程度。平仮名派はもっと多いかと思っていましたが、2割程度でした。少ない文字数で見出しを付ける整理記者にとってはうれしい結果かもしれません。
和語には男女区別する総称なし
辞書を引いてみると、見出し語の表記はやはり「兄弟」ですが、「姉弟」「兄妹」などの表記もあると説明するものが多く見られます。明鏡国語辞典3版は「間柄を指定したり性別を示したりしたいときなど、『姉弟』『兄妹』『姉妹』『兄姉』『弟妹』などとも書く」として「兄姉」「弟妹」でも「きょうだい」と読むことがあると解説しています。確かに「私のきょうだい」と言った場合、年上だけを指すこともあれば年下だけを指すこともあり得ます。
日本国語大辞典2版によると「『姉と妹』を示す『姉妹』も同様に中国語から日本語に入ってきたが、日本においては男女によって特に区別することはなかった。そのために、兄と弟に限らず、姉と妹であろうが、姉と弟、兄と妹の場合でもキョウダイが使用されてきた」とのこと。
「姉弟」「兄妹」で「きょうだい」とするのは、常用漢字表の読み方にはないのですが、長い歴史のある無理のない表記だと言えるでしょう。今回のアンケート結果を踏まえても、こうした表記を許容している毎日新聞ルールが的外れではないようで、ひとまず安心です。
3人以上はどう書くか
ツイッターでは、2021年東京オリンピックの柔道で金メダルを獲得した兄・阿部一二三選手と妹・阿部詩選手への言及が見られました。毎日新聞のその時の見出しは「柔道・阿部兄妹 金」。ただし記事を読んでみると「きょうだいそろって金メダルに輝いた」と平仮名で書いています。
この平仮名書きもよく見ますが、「きょうだい」は5文字。「姉弟」「兄妹」なら2文字。短い文字数で見出しを付けたい整理記者としては、ぜひとも漢字を使いたいところでしょう。さらに漢字を使うことで、「姉と弟」「兄と妹」といった関係性が一目で分かることもメリットです。今回のアンケート結果から、「読者は読み方に困るんじゃないだろうか」と悩む必要もあまりなさそうです。
ただし、「サザエさん」のサザエ、カツオ、ワカメのような3人であれば漢字ではうまく表せません。無理やり書くとしても「姉兄妹」にするのか「姉弟妹」にするのか、カツオくんの扱いに困ります。こういう場合は「きょうだい」と平仮名で書くしかなさそうです。
(2022年12月01日)
まずは性別に関係なく「兄弟」と書いても間違いではありません。岩波国語辞典8版の「兄弟」の項目では、「同じ親から生まれた間柄の者」という説明に加えて「姉・妹をも含めて言う」と注釈が付いています。▲とはいっても最近の編集の現場では、姉や妹を含む場合に「兄弟」と表記するのをためらう空気が強いと感じます。「兄」「弟」という男性側を表す漢字で代表させるのは時代にそぐわないように思えるのでしょうか。▲その結果「きょうだい」と平仮名にすることもあります。また毎日新聞用語集では「姉弟」「兄妹」「姉妹」と書いて「きょうだい」と読ませることも認めているため(「姉妹」は「しまい」と読む人が圧倒的でしょうが)、実態に合わせて使い分けることも可能です。しかし「姉弟」を「きょうだい」と読む人はどれぐらいいるのでしょう。「してい」と読む人、そもそも読み方を気にしない人もいるのでは。皆さんが自然に思える表記、読み方はどれでしょうか。
(2022年11月14日)