こんにちは。校閲グループの本間浩之と申します。今年の1月から勤務している新入社員です。就職活動をする前から読んでいたこのブログにまさか自分の文章が載ることになるとは。人生とは何が起こるのか分からないものですね。
今回は、新入社員として指名を受けての記事ですので、新しい職場に入って戸惑ったこと、できるようにならねばと感じたことなどを書くことといたします。
「こんにちは」が気恥ずかしい!?
「なんでおはようございますなの?」。入社して1週間ほどでしょうか、先輩記者から聞かれました。朝刊業務のため出社したのは午後4時。先輩の言うことはもっともです。
ただ、私の前職だったテレビ関係の仕事場では、いわゆる業界用語である「おはようございます」が何時でも使われていました。同じマスコミ業界であり、昼夜を問わない働き方をすることには変わりのない新聞社でも、こんなところに違いがあるのだと驚いた記憶があります。「校閲記者たるもの時刻に応じたあいさつをすべきだ」ということなのでしょうか。
しかし慣れない「こんにちは」。小中学校くらいまでは自然と使っていたはずなのに、いつの間にか縁遠い言葉となっています。十数年ぶりに再び日常的に使うようになると気恥ずかしさがあります。大勢の前で話をする人や、まだ純粋な少年少女たちが主に使う言葉と感じるようになっていたからです。
一般的な時間帯で働く人たちは「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」を使い分けているのか。それとも時刻をほぼ問わない「お疲れ様です」がそれらの役割を一手に担っているのか気になるところです。「校閲なのに」と言われぬよう、普段の生活でも言葉を選んで過ごしていこうと思います。
代替案を出すのは「ハードルが高い」!?
先日の仕事中、原稿の中に「各社が300万円台の小型車を増やすなどして敷居が下がっているためだ」とありました。
「敷居が高い」に関しては、「本来の意味(不義理や面目の立たないことがあって、その人の家に行きにくい)ではないから誤用だ」とは言えない向きになりつつあります。このブログでも何度か取り上げられてきました。
by __U___
ここで問題となったのは本来の用法で使われているかという点ではなく、「敷居が下がる」という表現。「敷居が低くなっているためだ」だとしても直したほうが良さそうです。「敷居が高い」から派生した表現だというのは分かりますが、辞書には見当たりません。
先輩記者に相談して直すことになり、出稿部のデスクの元へ。毎日新聞用語集に載っているような決まりごとは校閲の判断で直しますが、事実関係の誤りや直し方が複数ある場合などは出稿部に確認します。その時に代替案などが提案できればよいのですが……。私は良い案が思いつかず。結局出稿部のデスクがきれいに直してくれました。その直しを施した画面が下の画像です。上半分が直しを施したところ、下半分が直しの反映した、実際に新聞に載った記事の形です。
誤りや不自然な表現に気付くだけでなく、出稿部から「そっちの方がいいね」と言われるような提案ができるようにならねば。そのためにはさまざまな文章を読んで言語感覚を磨いていかなければと思う今日このごろです。
【本間浩之】