読めますか? テーマは〈商い〉です。
目次
二八
にっぱち
(正解率 90%)商売や興行で売り上げが落ちる時期とされる2月と8月のこと。しかし中国からの観光客のおかげで最近は逆に書き入れ時の業界も。きょうは旧暦元日、中国でいう春節だ。
(2016年02月08日)
選択肢と回答割合
にや | 3% |
にっぱち | 90% |
ふたや | 8% |
米会所
こめかいしょ
(正解率 47%)江戸時代から明治初めにかけてのコメの取引所。大阪の堂島米会所は世界初の整備された先物取引所という。NHK連続テレビ小説「あさが来た」で大阪に嫁いだばかりの主人公が訪れる。
(2016年02月09日)
選択肢と回答割合
べいかいしょ | 22% |
こめかいしょ | 47% |
こめあいしょ | 31% |
丁銀
ちょうぎん
(正解率 42%)「挺銀」とも書く。江戸時代に用いられたナマコ形の銀貨。金、銀、銭の3種の貨幣のうち大阪では銀が主に使われた。しかし維新後、新政府が打ち出した銀目(ぎんめ)停止によって大阪の両替商は大打撃を受けた。NHK連続テレビ小説「あさが来た」の主人公が嫁いだ先はその両替商だった。
(2016年02月10日)
選択肢と回答割合
ていぎん | 30% |
ちょうぎん | 42% |
さしがね | 29% |
定款
ていかん
(正解率 90%)会社などの根本規則。目的や組織、業務内容など。またはそれを記したもの。会社を設立するときには作成しなければならず、NHK連続テレビ小説「あさが来た」で主人公が銀行をつくるときにも出てきた。
(2016年02月12日)
選択肢と回答割合
ていかん | 90% |
ていそ | 5% |
ていけつ | 5% |
◇結果とテーマの解説
(2016年02月21日)
この週は「商い」。明治の女性あきんどを描くNHK連続テレビ小説「あさが来た」と、「春節」で商売繁盛の業界が多くなったことにちなむものです。
「爆買い」という言葉が昨年の新語・流行語大賞に選ばれましたが、この言葉に違和感を示す向きもあるようです。毎日新聞採用試験の面接で2人が申し合わせたように「ちょっとばかにしているような感じがする」と言っていました。また、言葉そのものについてではありませんが、平川克美・立教大特任教授によるこんな指摘もあります。
1980年代後半のバブル期、パリやニューヨークの高級品店で、爆買いする日本人の姿は、珍しくはなかった。私自身、空港で手に持てないほどの高級品を買いあさる一団を目撃して、その旺盛なエネルギーとマナーの悪さに驚愕(きょうがく)した。中国人の爆買いを揶揄(やゆ)し誹謗(ひぼう)するものは、それが少し前の自分たちの姿だったことを忘れている。 2月6日毎日新聞朝刊「メディア時評」
さて、今年の春節は2月8日。「二八」という言葉と期せずして同じ数字になりました。ニッパチは今ほとんど使われないのかもしれないと思っていましたが、「正解した。小売りやってますから」というツイートをいただいたり、最近も毎日新聞のコラムに出たりして、今も生きている言葉だと確認できました。
今回最も正解率が低くなった「丁銀」は「挺銀」とも書きます。「挺」は「まっすぐな棒」を表し、写真を見れば分かるように、なるほど棒の形です。「丁」とは全く違う字ですが、通ずるものはあります。拳銃などの数え方を「1挺」とも「1丁」とも表記することが一例。新聞が「1丁」と書くのは、挺が常用漢字ではないからですが、丁銀・挺銀のように昔から両様の表記があったことにもよるかもしれません。
「定款」は「あさが来た」で銀行設立の際に出てきました。「二八」と同じ90%の正解率。款は常用漢字なので読めて当然ともいえますが、関係者以外には「常用」というほど使われませんので、妥当な数字なのかもしれません。
「米会所」は「あさが来た」のヒロインがディーン・フジオカさん演じる五代友厚と会う場面で登場。このドラマでディーン・フジオカさんが突如ブレークしたのはご存じの通りです。なお、大阪本社版毎日新聞の2013年12月19日のコラムに「あさが来た」に関連する部分が既にありました。
大坂では、日々、膨大な量の取引が行われていたが、これを米俵で行ったのでは大変である。そこで大坂商人は、「米切手」というチケットで売買することを思いついた。大坂で米を売った大名に「米切手」という名の「お米券」を発行してもらい、この「お米券」で転々売買を行ったのである。(中略)幕府は、「お米券」を保護する法令を次々に発令し、市場の不安心理を取り除くことに尽力した。幕府は、一連の政策を打ち出すに際して、鴻池屋善右衛門(現・三菱東京UFJ銀行)、加島屋久右衛門(現・大同生命保険)といった金融商人の意見を聴いていたことが明らかにされている。どのような政策を打てば市場が安定するかを、最もよく知っているのは商人であり、彼らの声を政策に反映することで、幕府は適切な政策を打ち出していた。江戸時代について一般に持たれている「上意下達」のイメージからは、決して想像できないような緊密な連携が存在したのである。高槻泰郎・神戸大准教授「ぶんかのミカタ:上方のあきんどは」
この「加島屋」こそ「あさが来た」の「加野屋」のモデルです。
ちなみに「あさが来た」には新選組の土方歳三が登場し、加野屋に借金を申し込みます。配役が大河ドラマ「新選組!」でも演じた山本耕史さんだったこともあり、話題作りの取って付けたようなエピソードだと思っていましたが、実は史実を踏まえていたのです。今でも大同生命にはその時の借用書が残っているそうです。このように、歴史と照らしてみれば「あさが来た」を見る楽しみが増えますね。