日付が変わってから朝にかけての時間帯の呼称について伺いました。
「未明」「早朝」分かれ目は「午前4時ごろ」か「夜明けの時間」
時間帯を表す「未明」と「早朝」、何時ごろに切り分けますか? |
午前3時ごろ 24.2% |
午前4時ごろ 32.8% |
午前5時ごろ 11.1% |
夜明けの時間による 31.9% |
「午前4時ごろ」と「夜明けの時間による」という回答がほぼ3分の1ずつ。午前5時だと「未明」と言うには遅い、と感じる人が多いという結果でした。もっとも、質問をした時期が冬だったら、もう少し時間帯が遅い方にずれたかもしれません。時間を表す言葉というのは、はっきりした定義をしない限りは感覚による部分が大きいもののようです。
「未明」は「夜がまだすっかり明けきらない時。明け方。夜明け前」(日本国語大辞典2版)。一般的には、夜が明けると「朝」になるのでその前の時間帯、というほどの意味で使われます。「早朝」は「朝の早いうち」(同)、「朝」は「夜が明けてからしばらくの間」(同)。よって「未明」と「早朝」を夜明けの時間で切り分ける、ということには理由があると言えそうです。
しかし、夜明けの時間は季節によるばらつきが大きいものです。夜明けの前提となる日の出の時間を見ると、2018年の東京都では、1月初めの午前6時51分から6月中下旬の同4時25分まで2時間26分の幅があります。時間の目安として使うには、振れ幅の大きさが気になります。
共同通信社の用語集は、時間帯を指す言葉に「はっきりした基準がない」「季節や地域によって変動がある」としつつも、目安として「未明(午前0時から夜が明けきらない午前5時ごろまで)」「早朝(午前5時~午前7時)」という区切りを示しています。夏場のように午前4時ごろには明るくなってくる時期は、未明と早朝の区切りも少し繰り上がりそうです。
気象庁のウェブサイトにある「時に関する用語」のページ(→こちら)では、一日の時間を分割して表現する場合、「未明」「明け方」「朝」をそれぞれ「午前0~3時ごろ」「同3~6時ごろ」「同6~9時ごろ」と定めているとのこと。気象用語として時間帯があいまいでは困るという事情があってこその切り分け方で、日常的に使いやすい区分とは言えない印象を受けます。
一方、このページでは「早朝」について「一般の人が活動を始める前。季節、地域にもよるが『夜明け』からおよそ1~2時間」としています。人の活動に着目しているのが独特ですが、感覚的にはなじみやすいかもしれません。「夜明け」は「日の出の前の空が薄明るくなる頃」とも。東京都の日の出は平均を取れば午前5時半過ぎですから、空が明るんできて「夜明け」と言えそうなのは、午前5時ごろでしょうか。
人の活動に目を向けると、総務省の「社会生活基本調査」(2016年)によれば日本人の起床時刻は平均で午前6時32分とのこと。夜明けからそれぐらいまでの時間、午前5時前後から6時半ぐらいが感覚的な「早朝」と言えそうです。夏場はもっと早くから「早朝」と感じると考えられ、アンケートにあるように「午前4時」で切り分ける、ということもあり得るでしょう。
今回の質問をしたきっかけは、サッカー・ワールドカップの記事で、午前3時スタートの日本戦に関する記述が「あす未明」と「あす早朝」に割れてしまったことでした。試合は午前3時から5時前にかけて行われるとはいえ、普通は開始時間に焦点を合わせるもの。午前3時から早朝としてよい、という意見も4分の1ほどありましたが、夜明けを基準にした感覚に基づいても、午前3時を「早朝」と言うのは無理があったと思います。同様のケースが今後あるなら、迷いなく「未明」にそろえたいところです。これが「午前4時」だとまた迷うことになると思いますが……。
(2018年07月31日)
たとえば午前1時ぐらいなら、通常の感覚では「深夜」と呼ぶのではないかと思いますが、新聞では「未明」と書きます。なぜかというと、午後11時も午前1時も同様に「深夜」と書いてしまうと「●日深夜」のような書き方をした場合、それが●日の午前のことなのか、それとも午後のことなのかを特定できなくなってしまうためです。
よって、午前0時以降の、まだ朝とは呼べない暗い時間帯については「未明」と書くのですが、これは何時ごろまでを指すものかと悩む場面が先日ありしました。サッカー・ワールドカップの日本-ベルギー戦。日本時間3日午前3時からの試合だったのですが、これに付いての表記が紙面によって「あす未明」「あす早朝」のような形で揺れてしまったのです。
午前3時……微妙なところです。切り分け方はいろいろ考えられますが、まず皆さんはどう感じるのか、この場で伺ってみました。
(2018年07月12日)