アメリカンフットボールの略称について伺いました。
8割以上が「アメフト」
毎日新聞ではアメリカンフットボールを「アメフット」と略しますが…… |
「アメフット」でよい 14.4% |
「アメフト」がよい 85.6% |
8割以上が「アメフト」を支持と大きな差がつき、ツイッターで寄せられた意見も「アメフト」を推すものばかりでした。
考えてみればネットゲーム(オンラインゲーム)は「ネトゲ」と略しますし、「ハリー・ポッター」は「ハリポタ」ですし、楽器のバリトンサックスだって「バリサク」と略していたなあ(「バリトンサクソフォン」だからバリサクでよい、という考え方もありますが)……と思うと、「アメフット」ではなく「アメフト」になるのも順当なように思えます。
なぜ新聞は「アメフット」と略すのか。「アメリカンフットボール」を単純に略すならば「アメフット」が自然、というのが第一の理由だろうと思われますが、製作上の慣行についてはっきりした根拠を探るのは困難でした。
ただ、フットボールはもちろん、フットを「フト」と略す例は他に見当たりません。略語として使うことに抵抗感があったのは否定できないでしょう。一方、かつて新聞では「キチン」と書いていたのを改め「キッチン」にし、また「アトホーム」という表記も今では「アットホーム」にしています。このように元は入れなかった「ッ」を、ある時期からいくつかの言葉については入れる方向になった過去があり、フットボールについては同列に扱えませんが、「アメフット」という表記にそうした流れが影響した可能性はあります。
日本新聞協会には加盟各社の用語担当者が集まる用語懇談会があり、その総会が5月に開かれました。その場で外来語の表記についての話題が出た際、「アメフット」にも触れられたようです。
毎日新聞からの参加者によると、放送ではほぼ「アメフト」。新聞でも朝日新聞は昨秋に「アメフト」とするよう決めたとのこと。回答からの解説でも書きましたが、今般の日本大学アメリカンフットボール部による悪質タックル問題では、読売新聞と日本経済新聞も「アメフト」で通しているようです。
かつては「アメラグ」と略されることがあり、略さずに「アメリカンフットボール」と書くよう、競技者側から申し入れが来たこともあったといいます。現在、競技者側として略す場合には「フットボール」を使うのが通例で、運動部の記者によれば「アメフト」か「アメフット」かには特にこだわっていないという話です。
今回のアンケートの結果から見ても、社会の大勢は「アメフト」です。毎日新聞でも「アメフト」を採用したら見出しを付ける整理記者は喜ぶかもしれませんが……もう少し検討させていただきたいと思います。
(2018年06月12日)
長くなりがちなカタカナ語。略すにはどうしたらよいか悩まされることもありますが、アメリカンフットボールに関しては、毎日新聞では「アメフット」と略すことに用語集で定めています。今月の日大アメフット部による反則タックルの一件では、共同通信、時事通信、産経新聞の各社が毎日と同様の略し方をしています。
一方、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞では「アメフト」。確かに世間では「アメフト」ということが多いような……。やはり「アメフット」は違和感があるでしょうか。
スポーツの競技名で最近問題になったのは、シンクロナイズドスイミングから名称が変わった「アーティスティックスイミング」。シンクロナイズドスイミングは「シンクロ」で済んだのですが、アーティスティックスイミングはまだなじみもなく、どうしたものか検討中というところです。日本水連のウェブサイトでは、略す際には「AS」と英語の頭文字を取っているようです。
(2018年05月24日)