「1割強」という表現をどの程度の数値について使うか伺いました。
目次
6割は「12%ぐらいまで」を選択
「1割強」といったら、10%を超えたどの程度までに使えますか? |
11%ぐらいまで 10.5% |
12%ぐらいまで 60.4% |
15%ぐらいまで 21% |
20%未満ならよい 8.1% |
「1割強」という場合はどの程度までを指すのかは、「12%ぐらいまで」とした人が最も多く6割程度を占めました。「11%ぐらいまで」と合わせると7割に達します。多くの人にとって、「~強」という表現で許容できるのはそう大きな幅ではないようです。
どの程度までが「端数」か
国語辞典などでは、今回取り上げたような「強」について次のように説明します。
・切り捨てた端数のあることを示す語。「五百円強・三キロ強」
(岩波国語辞典8版)
・〔接尾語的に〕単位量の整数倍に端数が何ほどか加わることを表わす語。「五キロ強」
(新明解国語辞典8版)
・それよりやや多いこと。「五キロ強」
(三省堂国語辞典8版)
・〔接尾〕端数を切り捨てたことを表す。「千人強の人数」「四メートル強の高さ」
(明鏡国語辞典3版)
・ある数のほかに切り捨てた端数のあること。実際はその数値よりもやや多いことを表す。「二メートル強」
(広辞苑7版)
「やや多い」「端数を切り捨てた」という表現が複数の辞書で見られます。「やや」というのはかなり感覚的な表現で、はっきりした数量として捉えるよりは、なんとなく分かるでしょ?という使い方を想定しているように見えます。
「端数」にしても同様です。これについて改めて辞書を引けば「少し余った数。例、千五十円の『五十円』。はした。『端数を切り捨てる』」(三省堂8版)。千五十円という例を出してくれているのはありがたい。しかしこの例は「誰が見てもこの『五十円』は端数と言えるだろう」という確実なところを取っているもので、これがだんだん「千百円」「千百五十円」となっていくと、どこが「端数」なのか微妙になってくると思います。
多数派の感覚に沿うのがよさそう
辞書の説明が悪いというわけではありません。ただ、今回の質問のように「どこまでが『強』なのか」といったリミットを探っていくような場合には、ある程度共有できそうな範囲を知るため、皆さんの認識を伺うことには意味があると感じました。
6割が選んだ「12%ぐらいまで」という目安は出題者の感覚にもなじむもので、「1割強」についてはまず、その結果に沿う形で使うのが穏当と考えます。今回のアンケートのきっかけになった、約16%でも「1割強」とするような書き方については、自信を持って修正を依頼することができそうです。
(2023年02月28日)
先日読んでいた原稿の中に、計算すると16%余りになるものについて「1割強」と表現しているくだりがありました。出題者の感覚からすると「強」で表現できるのは10%を少し超えたぐらい、11、12%程度といったところでしょうか。この原稿については出稿部と相談した上で、はっきりした数字を載せることになりました。▲辞書で「強(きょう)」を引いてみると「〔接尾〕端数を切り捨てたことを表す。『千人強の人数』『四メートル強の高さ』」(明鏡国語辞典3版)とあります。「1割」の場合だと、その下の桁「○分□厘」といった部分が端数でしょう。ただしこの説明では、「強」で表せる切り捨ての範囲がどの程度までなのかはよく分かりません。▲仮に2割に近づいてしまうなら、「1割強」よりも「2割弱」の方がなじむはずですから、1割と2割の中間あたりが分かれ目になるのでしょうか。どの程度までが「強」で表せるのか、皆さんの意見を伺えればと思います。
(2023年02月06日)