目次
痛そうな誤用
夫を亡くして落胆する女性にかけた慰めの言葉。「3年たてば薄皮をはぐように忘れるよ」。これでは忘れるどころか、かえって痛みが増しそう。
悪い状態が少しずつ良くなる様子をいう慣用句なら「薄紙をはぐよう」がよい。ちなみに「薄皮のむけたよう」は「皮膚が白くきめの細かい洗練された女の顔や肌の形容」(小学館・現代国語例解辞典)で無関係だ。
明鏡国語辞典2版より
食べていいの?
山梨県の山中にある料理店。春の山菜定食の内容を紹介し、夏には「川魚や高山植物が中心のメニューに変わる」という。
高山植物を料理に使うというのはあまり一般的とはいえないし、特に同県では条例で高山植物を保護しているらしい。大丈夫かと確認を求めると「高原野菜中心のメニュー」と直った。
その時代に冷房は
1942年刊行の句集に収められた句について「冷房のきいた個展会場を出たら、外は薄暑だった」という解説があった。
しかし、「戦前の冷房設備の大半は紡績工場に設置されたにとどまる」(日本大百科全書、下の写真)との情報もあり、当時の状況について筆者に見解を求めたところ「ひんやりとした個展会場を」と直すことになった。
【宮城理志】