「大相撲には部屋が別でも4等親以内の力士同士は本場所で対戦しない慣例がある」。この「等親」は「親等」が適切です。「両者は混用されている」(大辞泉)のですが、本来は思想も数え方も異なり、この場合の「いとこ」は、親等なら4、等親では3に当たります。
現在の民法で使われているのは「親等」です。大相撲では2009年に取組編成要領で、優勝決定戦を除き、いとこにあたる4親等以内の力士同士の本割取組をさせないことを決めました。
世界大百科事典によると、「親等」は「親族間のへだたりの度合を表す単位。民法では,1世代を1親等として親等数を計算する(726条)。(中略)直系血族間では両者の間の世代数がそのまま親等数になる」。親は1親等、祖父母・兄弟姉妹は2親等、おじ・おばやおい・めいは3親等で、いとこは4親等です。
一方、等親は「明治民法制定によって廃止された過去の制度。(中略)等親制は〈家〉を尊重する、いわゆる旧〈家族制度〉的思想に基づく価値観によって親族の構成員の尊卑の地位を定め、これを個別的に列挙して示すという方法をとっていた」。いとこは3等親に当たりますが、「夫は1等親,妻は2等親,しかも妻は妾と同列の2等親とされているなど,現代の個人の尊厳と両性の本質的平等(民法1条ノ2)という家族観念とはまったく異質のもの」。
親等とは思想も数え方も違うので注意したいところです。