読めますか? テーマは〈親類〉です。
目次
孫子の代
まごこのだい
(正解率 68%)子孫の世代のこと。「遠い将来まで」という意味で「孫子の代まで」が慣用句的に用いられる。「そんし」と読むと古代中国の兵法家の名になる。
(2012年08月13日)
選択肢と回答割合
そんしのだい | 19% |
まごこのだい | 68% |
ひこのだい | 13% |
再従兄弟
はとこ
(正解率 98%)「さいじゅうけいてい」ともいう。またいとこ、つまり双方の親がいとこの子のこと。自分からみて大おじ・大おば(祖父母のきょうだい)の孫にあたる。
(2012年08月14日)
選択肢と回答割合
いとこ | 1% |
はとこ | 98% |
ろとこ | 1% |
岳父
がくふ
(正解率 91%)しゅうと、つまり妻の父のこと。中国の霊峰・泰山で行った儀式で、妻の父の力で昇進した者について「泰山の霊力のために昇進した」と言う者があったとの故事に基づくという。岳は泰山を指す。
(2012年08月15日)
選択肢と回答割合
がくふ | 91% |
だけちち | 1% |
たけふ | 9% |
女婿
じょせい
(正解率 46%)娘の夫、娘婿のこと。女婿は「女性」と同じ発音だが男性である。婿の字は訓読み「むこ」、音読み「セイ」ともに常用漢字表にある。婿が女偏なのは「部首『女』は“家族”を表すこともあるから」(円満字二郎「漢字ときあかし辞典」)だが、元は「壻」が正式の字だったという。
(2012年08月16日)
選択肢と回答割合
おんなむこ | 45% |
じょえん | 9% |
じょせい | 46% |
大祖父
おおおおじ
(正解率 18%)曽祖父、つまりひいおじいさんの古い言い方。祖父は昔「おおじ」と呼んだ。曽祖母は「大祖母(おおおば)」と辞書にあり、なぜか大祖父より「お」が一つ少ない。「大伯母」「大叔母」(両親のおば)と同じ読みで紛らわしい。ちなみに曽祖父の父は高祖父(こうそふ)という。
(2012年08月17日)
選択肢と回答割合
おおじじ | 26% |
おおおおじ | 18% |
だいそふ | 56% |
◇結果とテーマの解説
(2012年08月26日)
この週のテーマは「親類」でした。お盆休みには親類縁者が集まる機会が多いということでこのテーマを選びました。
今更いうのもなんですが、日本語の血縁を表す言葉って、アバウトですね。例えば「おやじ」。父親を指すのか、そのへんの中年男を指すのか、文脈で判断しなければなりません。しかも「親父=おやじ」という読みが常用漢字表になく、新聞記事では原則として仮名書きするので表記による区別もできません。
「おじさん」となると、「伯父」か「叔父」か、はたまた何の血縁もない「小父さん」なのか。そういえば「にいさん」だって「兄」なのか、単に若い男への呼び掛けなのか。
また「兄弟」は体操の「田中3きょうだい」のように平仮名表記にすることもあります。しかし女性が含まれていても「兄弟」の字を使えることは辞書でも裏付けられます。「きょうだい」という平仮名表記は、女性を含む「兄弟」の表記は間違いという意見が多いためか、書き手の自主規制なのか分かりませんが、平仮名にしても性差がはっきりするわけではありません。これも日本語の曖昧さでしょうか。
性差といえば、今回の漢字は「岳父」「女婿」「大祖父」と、ほとんど男ですね。出題者が男なので、無意識のうちに男の字を選んでしまったのかもしれません。
今回最も正解率の低かったのは「大祖父」です。「おおおお」という擬声語のような読みが面白いのですが、まず聞いたことがありません。しかし毎日新聞のデータベースでは、意外にも事件の記事などで出てきます。しかしこの語は古語であり、現代日本語としては「高祖父」と書くのが正しいと思われます。ちょっと分かりにくいのですが。
その次に難しかったのは「女婿」。常用漢字表にある読みで、経歴の記事に使われることも時々ありますが、難読ということが証明されました。
次に「孫子の代」。以前ある他部署の人がこの字について遠慮がちに「子孫」の間違いかと聞いてきたことがありました。2012年8月15日の毎日新聞社説にも「孫子に語り継いでいく」という言葉が出ましたが、あまり知られていないようです。
「岳父」の解説で語源説を紹介しましたが、あくまでも一説です。別の説もあるので本当のところは分かりません。「再従兄弟」を「はとこ」という和名の由来に至っては、調べた限りどの語源辞典にも載っていませんでした。「いとこ」の「い」を「いろは」の「は」に替えたのではないかと素人考えで推測できますが、ではなぜ「ろとこ」ではないのかという謎に答えられません。全く語源というのは謎が多いですね。だからこそ面白いのですが。