「スケートボード」の略し方についてうかがいました。
「スケボー」が圧倒的だが「スケボ」も15%
スポーツのスケートボード、略すなら… |
スケボ 15.7% |
スケボー 84.3% |
8割超が「スケボー」派で圧倒的でした。予想通りですが、むしろ15%「スケボ」派がいたことに注目すべきかもしれません。
手近な国語辞典を片っ端から見ていっても、略称として載っているのは全て「スケボー」。対してスノーボードは「スノボ」「スノボー」で割れており、三省堂国語辞典(7版)は「スノボ(ー)」と、両方ありの姿勢です。
日本スケートボード協会のホームページによると、現在のスケートボードの原形と言われているものが売り出されたのは1950年代。一方、日本スノーボード協会のサイトを見ると、1900年代初頭には深雪を楽に滑り降りる道具が販売されており、「日本でも1970年代前半になると、サーフボードで雪山を波に見立てて滑ったりした事もありました」と言います。いずれもスポーツとしては新しいものですが、日本での展開には差があるようです。
92年の毎日新聞に「あのブームは今」という企画でスケートボードが取り上げられていました。いわく「70年代後半、米西海岸の風俗が紹介されたのをきっかけに輸入され、日本各地に専用コースができるなど大流行。その後、ブームは沈静化」したとのこと。スノーボードのブームはもう少し遅く、毎日新聞では96年にスキー場でのスキーとのすみ分けを取り上げた記事で、スノーボードブームに触れています。日本生産性本部の調査では、97年から統計のあるスノーボード人口のピークは2002年の540万人。最も盛り上がった時期には20~30年の差があるようです。
ところで、「ウラジオ」についてのアンケートのまとめでも触れた藤井青銅「略語天国」(小学館、06年)は、「長いカタカナ言葉は4文字に略す」という法則を唱え、4文字略語こそスタンダードだとしていました。しかし「おそらく若者は、4文字なんて長ったらしくて、我慢できない」として、「さらなる略語欲求」が働き、「若年世代を中心にカタカナ3文字略語派」が発生したと分析しています。例として挙げられているのが「メールアドレス」の略し方で、年齢が高いほど「メルアド」派が多く、低いと「メアド」となる、というもの(大辞泉2版と同じ分析ですね)。
だとすると、こう考えられるのではないでしょうか。70年代と比較的早くブームになったスケートボードは伝統的な4文字略語「スケボー」で定着したものの、流行が比較的最近であるスノーボードは「スノボー」が完全に定着する前に、より短くしたがる若い世代によって「スノボ」化した――。ちなみに前掲書ではスケートボードを「スケボー」、スノーボードを「スノボ」と略しています。
今年のアジア大会で大活躍した10代の日本選手たちは、2020年東京五輪でも紙面をにぎわしてくれそうです。その時の見出しは果たしてどうなっているでしょうか。今回のアンケート結果からしても、言葉に保守的な新聞の立場からしても、「スケボ」となる可能性は低そうです。しかし3文字略語を好む世代の選手たちが自ら「スケボ」と言い始めたら……。
(2018年10月09日)
2020年東京五輪でも行われることになったスケートボード。この夏のアジア大会のネットニュースを見ていると、見出しで「スケボ」としているものがいくつか見つかり少々驚きました。
4年前のソチ冬季五輪の際、「毎日ことば」では、スノーボードを略す際の表記が「スノボー」から「スノボ」になってきたことを紹介しています。
そこでは「似た略語の『スケボー』(スケートボード)を『スケボ』とはあまり言いませんし……」と書きました。しかし、逆にいえば「『スノボ』を『スノボー』とはあまり言いませんし……」ということで、「スケボー」が「スケボ」化するのはおかしなことではないのかもしれません。この4年で略し方は変わりつつあるのでしょうか。
毎日新聞(東京本社版)の見出しでは、スノーボードは06年のトリノ冬季五輪からほぼ「スノボ」に統一されています。「スケボ」はまだ見出しになったことはなく今まですべて「スケボー」ですが、20年までに「スケボ」化する可能性がないとはいえません。
(2018年09月20日)