読めますか? テーマは〈イワシ〉です。
目次
熬り子
いりこ
(正解率 84%)「炒り子」とも書くが、通常は仮名書きに。煮干しのこと。主に西日本でいう。カタクチイワシやマイワシを煮て干したもので、だしにする。
(2016年02月01日)
選択肢と回答割合
いりこ | 84% |
あぶりこ | 8% |
かぶりこ | 8% |
干鰯
ほしか
(正解率 46%)脂をしぼったイワシなどを乾燥させた肥料。化学肥料登場以前に即効性の肥料として普及していた。「か」の語源は「糧」や「香」などの説があるがはっきりしない。
(2016年02月02日)
選択肢と回答割合
ひいわし | 21% |
じゃこ | 33% |
ほしか | 46% |
潤目鰯
うるめいわし
(正解率 90%)イワシの一種で、目が大きく潤んだように見えることからの名。鰯は秋の季語だが、潤目鰯は冬の季語だ。鰯は日本で作られた漢字。一説に「弱い魚」からという。イワシの頭をヒイラギに刺し節分の魔よけにする風習がある。
(2016年02月03日)
選択肢と回答割合
うるめいわし | 90% |
うるまいわし | 7% |
うるみいわし | 3% |
白子干し
しらすぼし
(正解率 74%)主にカタクチイワシの稚魚をゆでて干したもの。白子はイワシやウナギなどの白色の稚魚の総称。同じ字で「しらこ」と読めば魚の精巣の意味になる。硬めのものは「ちりめんじゃこ」ともいう。
(2016年02月04日)
選択肢と回答割合
しらこぼし | 22% |
しらすぼし | 74% |
しろこぼし | 4% |
大羽鰮
おおばいわし
(正解率 52%)マイワシの大型のもの。イワシは鰮とも鰯とも書き、金子みすゞの詩「大漁」には「大羽鰮の大漁だ」と出てくる。マイワシは成長によって名を変える出世魚。シラスから小羽(こば)、中羽(ちゅうば)、大羽などと変化する。
(2016年02月05日)
選択肢と回答割合
おおばいわし | 52% |
おおはねいわし | 4% |
とびうお | 43% |
◇結果とテーマの解説
(2016年02月14日)
この週は「イワシ」。節分の夜にイワシの頭をヒイラギに刺して鬼を追い払う風習があることからこのテーマにしました。しかしイワシだけで1週分の漢字テーマになるとは。それほど、日本人にとってなじみ深い魚なのですね。
「鰯」の字は漢字クイズとしては易しすぎると思い、まず選んだのは「潤目鰯」でした。これでもウルメイワシという言葉さえ知っていれば簡単といえます。
イワシは「鰮」とも書きますが、手持ちのパソコンで入力するとちゃんと「鰮」が登録されているので、特殊な用字ではないようです。現に金子みすゞの有名な詩で使われています。
朝焼小焼だ大漁だ大羽鰮の大漁だ。
浜は祭りのようだけど海のなかでは何万の鰮のとむらいするだろう。「大漁」 ハルキ文庫「金子みすゞ童謡集」より
みすゞにはこんな詩もあります。
王子山から町見れば、わたしは町が好きになる。干鰮(ほしか)のにおいもここへは来ない、わかい芽立ちの香がするばかり。
「王子山」の一部
今回のクイズでは「干鰯」の表記にしましたが、それでも今回最も正解率が低くなりました。現代では使われないので無理もありません。しかし、正月の縁起物であるカタクチイワシの「田作り」はご存じでしょう。なぜ田作りというかといえば、イワシを肥料にしたからです。ちなみに先週触れた大阪の靱(うつぼ)地区には干鰯を扱う店が多かったようで、上方落語「牛の丸薬(がんじ)」に出てきます。
「熬り子」の熬の字は見たことがないかもしれません。「毎日新聞用語集」には
(炒る、熬る)→煎る
とした後に
原則として「煎る」を使うが「炒る」「熬る」の表記習慣が強いものは仮名書き
という注釈があります。しかし「熬る」の表記習慣が強いものって、ちょっと思いつきません。辞書には「熬り子」という表記もありますが、普通は平仮名で使うはずですし。
「白子干し」の白子も仮名書きにする習慣が強いといえます。ただ「しらこ」と読むと魚の精巣という別の意味になってしまうことを注意喚起したくて出題しました。蛇足ながら、個人的には軟らかい釜揚げシラスといわれるものよりは、硬めの「ちりめんじゃこ」の食感の方が好きです。ああ、大根おろしとあえて食べたくなりました。